サブタレニアンホームシックレプチリアン

 フィアンセィヂックキョウコン先生は、実はUMAだったという噂もある。これは、フィアンセィヂックキョウコン先生のガールフレンド、それ略してガルフレの遠野チエという女の情報だ、が、彼女はそういう噂が既にあるからフィアンセィヂックキョウコン先生のもとに来たんだってこともそのあとわかったんだ。この遠野チエは、彼氏持ちというか愛人持ちの女、その男の名前は不明で、その男も実はUMAで、身長965センチだかの化物に突然変異する、前TV出た時も危うくなりかけたんだって感じのこと言っていた。

 オレと遠野チエはまるで友だちでもない、ただ、横の部屋にいて、フィアンセィヂックキョウコン先生との会話からいろいろオレは聞いてるんだ。これも”盗み聞き”にされるのかな。

 遠野チエは長野県の女であるのに、この愛知県まで来るほどフィアンセィヂックキョウコン先生に関心があるらしい、まあフィアンセィヂックキョウコン先生も長野県出身のようだが。なぜ先生を知ってるかというと、これは彼女が裏世界の女で、薬を売っている闇市ってわけではないが、ダークな市場なところと深い関係を持っているだからなんだとか。

 でも先生がレプチリアンだか、プレイアデス星人だとかそういう噂があるゆえに関心があるがすべてではないようで、単に”人としての興味”のが強いとオレは思ったよ。


 オレは、なぜか、数年前の、中学校を登校拒否して、家にいて、ヲタク的にリヴィングにいて、その孤独的な日々の哀愁的なものを今感じたよ。


 高校行ってからはいろんな先生にあった。あきらかに変な先生に否応なく教わらないといけないのは、なんか滑稽だよ。オレが”パコ”って女のこと好きで、オレが写真に写ってないのに学校で買えるその子の写真を注文したなんてエピソード、写真屋にはバレてるが、学校のヤツらには言えたもんじゃないよ、絶対にムッツリスケベエだって言われるんだ。ちなみにそのパコの名字は椙原なんだ。でもフィアンセィヂックキョウコン先生ならきっとそういうことやっても、かっこよくきまって、例えば患者とも急にヤったり、マッサージ師役でAV男優デビューしたってかっこよくきまってしまうとはすぐにわかるんだ。何か話がそれた、ようは、椙原パコみたいなああいうかわいい女までも、そんな変質者として逮捕される寸前のような男に教えられるのもなんかいい気分ではなく、被害者のようにも見えるんだ、それは何かパコまでもあわれだなって感じるんだよ、でもオレだってそうやって教わってる立場でもあったわけだからそんなこと言えた立場ではないが。


 フィアンセィヂックキョウコン先生は、黒髪の長髪でボタンも閉めず白衣を着ている。白衣を着ているってのはまあ医師なら当然か。オレの通った精神病院の先生は着てない場合もよくあったが。フィアンセィヂックキョウコン先生の着る白衣、それがコスプレみたいなんだ。

 オレは制服を着ると厨二病患者っぽくなってしまう、”きどってないが、きどってる”みたいなさ。それは社会人用のローファーを履く趣向と、ダボついた服が嫌いで着ない、股下比率が49%以上あるっていうところからくるんだろうが。


 思い出した、オレは、中三の時、いじめられて坊主にされた時、確か、”火星人だ”的なこと言われたんだ。オレはUMAに見えるのかもしれない。ちなみに、フィアンセィヂックキョウコン先生のガルフレのエステラ・ゴールドマンという女は、UMA扱いされた経験があるようだが、フィアンセィヂックキョウコン先生によれば、彼女はUMAではないようだ。どうやら、この精神病院には、レプチリアンが、飼育されているらしい。それは、散歩させたら、嫌がり、すぐに病院に帰ろうとした、どうやら相当ホームシックなレプチリアンなようだ。

「君はもしかしてこの病院で飼育されているレプチリアンか?」と遠野チエが。

「いいえ、違いますよ」とオレが言った、この返答が人生史上初めて遠野チエとオレの会話を成立させた。


 オレは、もう、女とも縁がないような、イケてる要素もないような一生のまま終わるんだと思っていた。でもそれは違うようだ。フィアンセィヂックキョウコン先生はこういうところまでも変えてくる、いや、”変えてくれる”と言うべきなのか、過酷な精神疾患が続いて、何か女との出会いも萎え気味なところなんだ、オレは。

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