第2話 医者
夏からすぐにクライ高校に入学する事になった僕は久しぶりにカウンセラーの先生に会う事になった。入学するにあたって心をもう一度整理する必要があるらしい。
清潔な白い空間。薬剤の匂いか独特な匂いは鼻に届くが不快になるほどではない。それでも落ち着ける空間ではない病院の廊下で僕は名前を呼ばれるのを待った。
「スウィフトさん」
看護師に名前を呼ばれ、僕とお義父さんが立ち上がり診察室へ向かった。
「やあ、久しぶり」
扉を開けると白髪の太った丸い顔の優しい顔した医者がいる。僕の主治医のミル先生だ。2年間僕の心のケアを担当した人でもある。軽く会釈を返す。
「身長伸びたんじゃない。いいね若いって」
なんでもない会話から始めるのがこの先生のスタイルらしい。でも話しやすいし良い先生だと僕は思う。
「先生、お電話でも話した通り、この子に学校に行ってもらおうと思っていて……。ジョンもその気です」
「そうですか、まだ早いと私は思うんですがね。ジョナサン、君はそれでいいのかね」
「はい、僕は大丈夫です」
ミル先生の視線がお義父さんから僕に移り、とっさに僕は返事をした。
「本人がこう言うなら大丈夫でしょう、ただお二人に言っておきますが無理はしない様に。楽しむことを目標にしてください」
こんな話をして先生の診察は終わった。ただ学校に行っている間は定期的に受診する事やPTSDの症状に対応する為のレクチャーを受けることになった。
今でも当時の事は夢に見る。眠れない夜も少なくない、でも僕は我慢出来る。これまでもそうやって生き抜いて来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます