ジョナサン
水溜 新一郎
第1話 幕開け
僕は6歳の頃からどこの国かも分からない場所で銃を持たされて少年兵として内戦の前線にいた。
その内戦も2014年に突如幕を閉じた。結果は僕が居た反政府軍の降伏による内戦の終結。当時聞かされていた負けた者が捕まるとどうなるか、という話を信じて仲間は何人も自らの喉を掻き切った。そんな光景を見て放心状態の僕は人権団体に保護されたのだった。
2年間のカウンセリングを終えた僕はアメリカのある夫婦の元に養子として迎え入れてもられた。もちろん、親となる彼らは僕の経歴を知っているらしい。僕がどこにいて何をしてきたか。それでも僕を家庭に迎え入れたいというのだから変わった夫婦だ。
最初の4か月は目を合わす事も口を利く事も出来なかった。それでも彼らは少しずつ僕との親交を深めてくれた。父のアーサーと母のソフィアは僕を社会に参加させる様に努力してくれていた。
「なあ、ジョン。お前も16になるし、そろそろ学校に行ってみないか。勉強もそうだが、お前ぐらいの年の子はもっと同世代と関わりを持つべきだと思うんだ」
僕はすぐに「はい」とだけ返事をした。僕に拒否する権利なんてなかった。あの場所でもここでも。
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