第41話やめられない、とめられない・・ほっさ
「あ、坊ちゃん!お帰りなさい!」
「うん、ただ今。バフォちゃん」
僕は早速ゲームの中にやって来た。
着ていたジャージから、ジャージへと素早く着替えた。
どっちにしてもジャージって言うね、ははは・・。
「坊ちゃん?あの魔王の鎧を着ればいいじゃないですか?ほら、あの鎧は別名「破滅の鎧」と呼ばれる由緒正しき、呪われた鎧でして!着れば着る程、呪われるって、どっかのオッサンが言ってました!ベェ!ベェ!ベェ!」
「いやいや。それ聞いたら余計着たくないよ!呪われてるって!どこのおっさんだよ!脱いで正解だったよ!なんか酔拳みたいな、うたい文句だな!おい!」
バフォちゃんは自分で言って爆笑している。
城(カスデ・ムショクナ・モンデ)の僕の寝室に、あの鎧は置いてある。
ま、その内着るかもしれなけど、目立つしね。今はいいや。
「いやいや、何でも魂を売ればもの凄い力が出るらしくて・・・100ベェー(倍)だー!みたいな感じ、じゃないんですかね?いっちょやってみっか?ベェ!ベェ!ベェ!」
はいはい、またバフォちゃんのウソかホントか分からない話が始まった。
いろいろやべーから、そのモノマネやめてくれる。僕がファンに仙豆が必要なぐらい、折檻(せっかん)されるから。
そしてバフォちゃんは僕に、真っ白い豆腐を差し出した。
「坊ちゃん!坊ちゃんに特別に、私からプレゼントです。魔族の間で、親から子へと代々受け継がれてきた『呪いのアイテム』です!渡すの忘れていました!ベェ!ベェ!ベェ!」
「え?呪いのアイテム?」
うーん、どっからどう見ても普通の豆腐なんだけど。
「はい、主に魔族の間で自決用に使われているものでして・・・私の家の仏壇に置いてありまして・・ベェ・・私のご先祖さまも、これで自決したそうです・・グスッ!・・・特別に今日、持ってきました」
「変な習慣があるんだね、変なの?どうやって使うの?まぁ、自決する事はないだろうけど・・・」(遠まわしに死ねって言いたいのかな?)
バフォちゃんは皿に盛られた豆腐を恐る恐る、両手で持ち上げた。
手がプルプルと揺れて、白い豆腐がダンスしている。
「は、はい!い、言い伝えでは、こ、この『呪いの豆腐』の角に頭をぶつけると、そ、即死するらしいんですが・・!あ、ああ、な、なんて恐ろしい!」
「いや、バカだろ!バフォちゃん!そんなんで死なないよ!黙って聞いてて損したよ!どんな言い伝えだよ!いや、僕もそれ聞いたことあるけど、死ぬわけないだろ!むしろ食べたほうが死ぬだろ!代々受け継がれた豆腐って!腐ってるだろ!そもそも!」
「はい、当たり前でしょう!冗談ですよ!スーパーで買ってきたばかりですから!引っかかった♪引っかかった♪ベェ!ベェ!ベェ!」
僕はバフォちゃんの角を、アルデバランしてやろうかと思ったけど、思いとどまった。
冒険の準備を済ませ、僕はカルマの街を目指した。
「行くよ!バフォちゃん!」
「はーい!豆腐代、後で返してくださいね~♪ベェ!ベェ!ベェ!」
「なんでだよ!」
~カルマの町到着~
「うおおおおぉ!尻!尻!尻!尻!」
「ええケツ!ええケツ!ええケツ!ええケツ!ええケツ!5ええケツ!」
ああ、まただ。また僕を呼ぶ声が聞こえる。
だ、駄目だ!行ったって、結末は見えてるのに・・。
「よし、今日はスルーしよう!バフォちゃん、このままフィールドの外へ向かおう!」
「いやいや、尻、見たいんでしょ?坊ちゃん!顔に書いてありますよ?ベェ!ほら、学校の授業でメインの内容より、脱線した話の方が楽しかったりしません?
そんな急がなくても、冒険は逃げませんよ?ね、ちょとだけ!見ていきましょうよ!」
ぐぬぬぬぬ・・。
見たい、見たいです。
だって何か、皆の熱気が凄くて、楽しいし。
ちょ、ちょっとだけ。
僕は吸い込まれるように、ケツのブラックホールに吸い込まれていく。
ケツに夢中な男性ファン、女性ファンを押しのけて、僕はステージの近くまでやって来た。
目の前に豪華なステージがセッティングしてある。
中央にはいつもの、サングラスの男が立っていた。
「さぁ、それでは時間になりました~♪お前らバッグ持ったか~?通帳持ったか~?クレジットカード持ったか~?財布持ったか~?」
「はーーーい!!」(観客たち)
「はい、それでは始めましょう!」
全部、金!金!金!金って、どんだけ使わせる気だよ!
ちょっとは、その下心を隠せよ!正直すぎだろ!
そしてなんでアンタら、素直に返事してんだよ!頭おかしいだろ!
「さぁ、それではご紹介いたしましょう!今、人気急上昇!ナンバー1のアイドルグループ!先日発表されたランキングでは、なんと3冠を達成!まずは『そこら辺を行き交う変態さん・100人に聞きました!今、このケツが熱い!』ランキングナンバー1!
そして『巷(ちまた)を魍魎跋扈(もうりょうばっこ)する変態さん・100人に聞きました!このアイドルに、ケツの毛までむしり取られたい』ランキングナンバー1!!そして、そして、『夜な夜な変な事を企んでいる変態さん・100人に聞きました~!開いたケツの穴が塞がらない!』ランキングーナンバー1!!!
それではご紹介いたしましょう!しりいいいがーーーーーーーるううううううーーーー!(尻ガール)」
「聞いたの変態ばっかじゃねーか!のさばらせんなって!通報して、早く捕まえろよ!その変態300人!
魍魎跋扈(もうりょうばっこ)させんなって!変な事企んでるから!何、呑気(のんき)にインタビューしてんだよ!
それになんだよ、最後開いたケツの穴が塞がらないて!漏らしてんじゃねーか!!何のランキングだよ!!・・はぁ、はぁ、はぁ、疲れた」
僕の熱いツッコミは、集まった観客の熱気にあっけなく吹き飛ばされた。
「尻!尻!尻!尻!尻!」
「茜~!」「喜美(きみ)~!」「紅葉!」「海~!」「人間紙幣計数機(にんげんしへいけいすうき)~!」
自分が応援している、アイドルの名前を大声で上げているファンの人々。
声を集めて、ステージ上に尻ガールのメンバーが登場した。
登場すると、黄色い声や、狂気に満ちた男性ファンの声が木霊(こだま)している。ちょっと怖い。
そしてリーダーの道端 茜がマイクを握って、一歩前に出て話始めた。
「みんな~♪リリースイベントに足を運んでくれて!ありがとうっ!
みんなと触れ合える大切な期会を与えてもらって、私・・・・胸が、いやケツが熱くなる思いです!(キリッ!ドヤッ!)」
「いや!最初のであってるから!なんで言い直すんだよ!わざわざ・・ケツが熱くって・・・下痢してんじゃねーのかよ!拭き過ぎだよ!早くトイレ行けよ!」
僕のツッコミは届くはずもなく、イベントが進行していく。
「はい、それでは早速!今回のアルバムの中から1曲披露してもらいましょう!」
サングラスの男が、水を飲みながら司会進行をしていく。
正面に鎮座しているディスプレイに今回のアルバムの収録曲が表示された。
1・ 「尻★ガール』
2・ 「支・離・滅・裂」
3・ 「蒙古斑」
4・ 「宿便」
5・ 「てぃ、てぃ、てぃ、てぃ・・・ティーバック?!」
6・ 「ボンジリ♪」
7・ 「ぱ、ぱ、ぱ、ぱ、ぱ・・・・パンティー?!」
8・ 「尻敷かれ宣言」
9・ 「君と知り合えて・・・夏」
10・「ひとみしり」
11・「なんてったっけっ?アイドル?
12・「Good Ending この恋のケツ末」
ステージのセンターに立つ茜が、マイクで話始めた。
「それでは聞いてください・・・ニューアルバムから!アルバムのタイトルにもなっている、今回のメインの歌です。あの・・・青春の日々を思いながら、心を込めて歌います。聞いてください・・。蒙古斑(もうこはん)!」
バラード調の音楽が流れて、ステージの上で尻ガールが歌い始めた。
「蒙古斑(もうこはん)」 作詞・作曲 道端 茜
1・
ああ、二人若かったよね?
初めて出会った時の事、ねぇ?キミは覚えてる?
会いたくて 会いたくて スノーランド(雪国)
幼い私 裸になり 部屋に逃げ込んだ 大人なんて誰も
部屋の鏡の中 私のお尻にあなたの影が ああ、若さ故の青春
ブルー・スプリング ブルー・スプリング ブルー・スプリング
二人だけの秘密 それがうれしくて 親の目を盗んで何度も会ったね
蒙古斑!蒙古斑!蒙古斑!
2・
突然の別れ 亡きじゃくった日々 時間だけが無常に
会いたくて 会いたくて バイブレーション(震える)
月日は過ぎ 私は高校生 あなたは愛幽霊(ラブファントム)
学校から帰り 自分の部屋へ 時間は午後4:30分
ブルー・スプリング ブルー・スプリング ブルー・スプリング
二人の記憶色あせて キッチンから母の声「茜?ご飯よ!」
もうご飯?もうご飯?もうご飯?
3.
記憶の欠片集め あなたを作る 思い出のジグソーパズル
私はあなたを探して 会いたくて 会いたくて 脳が震える(ぺてるぎうす)
でも今日は 楽しみにしていたWカップの日本戦の日
ほらテレビの中 あなたの色 そう思い出の青
ブルー・スプリング ブルー・スプリング ブルー・スプリング
試合が始まるまで ちょっとだけ 君を想いベットで眠る そして目を覚ます
え?もう後半?もう後半?もう後半?
ああ、うぉううぉう!(出来るだけ、汚く、痰を絡ませながら)
蒙古斑(もうこはん) もうごはん もう後半 ※繰り返し
蒙古斑(もうこはん) もうごはん もう後半 ※気が済むまで繰り返し
終わり
「ゴミの様な歌だったね!バフォちゃん!」
「そうですね、ベェ!でも、最後の汚い部分は心にしみました!」
蒙古斑(もうこはん)の歌が終わり、聞いていたファンたちが咽び泣いている。
「も、も、もうこはん・・・うぅううう・・・」
しくしくと、嗚咽を出している者も・・・。
会場中のファンが青春を思い出している様子だった。
「なんで泣いてんだよ!こんなケツが青い歌で!馬鹿じゃねーの!あ、本当の事言っちゃった!」
歌い終わった尻ガールのメンバーが舞台袖に移動して、喉が渇いたのか水を飲んでいる。
各メンバー・2リットルボトルのミネラルウォーターを、サングラスの男と競い合って飲み干していく。
「いやいや!一曲歌っただけで、なんでそんな!喉が渇くんだよ~!サングラスのおっさん、さっきから水ばっか飲んでんじゃねーか!下痢するぞ!」
「いや坊ちゃん!きっと緊張してるんですよ!だから喉が渇くんでしょうね!ベェ!べェ!ベェ!」
そうなのかな?見てると口元からドバドバ水が流れてるけど・・。
急にそんな水ばっか飲むと、水中毒になるぞ?
その時、リーダーの茜が袖から、フラフラとステージに向けて歩いてきた。
「あ、あ、もう飲めない!ほら?よく言うでしょ!水も滴る、いい、お、女って!(大声出したら、吐きそう)み、皆~今度のアルバムには『握手券』が付いてくるから、絶対買ってね!」
茜は握手券説明を始めた。
どうせろくでもない内容なんだろうけど・・・。
つづく。
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