第4話 会場


翌日・・・早朝。



『ピピピピピピ!ピーーー!!』


仕事も予定もない僕が、いつもの時間に目覚まし時計に叩き起こされる。

しかし昨日、母に思い切って話した事を思い出した。

いつもの自分とは違う高揚感を僕は感じていた。


「このゲームで、自分の居場所を見つけたいな・・」

そう言うと、朝食を食べる為、キッチンへと向かう。

いつもの見慣れた道を進んでいく、今日は母はどんな顔でいるだろうか?

すこしドキドキしていると、すぐにキッチンにたどり着いた。


「おはよう!銀河!」

「お、おはよう、母さん」

いつもの変わらない母・遥。


いつもの様に雑談をしながら、朝食を済ませた。


昨日の夜の様に、二人は同じ机に座った。


「ねぇ、銀河?母さん調べてみたんだけど?このゲーム何万人も人が死んでいるみたいよ?」

母はあらかじめログインしておいた、ペーパータブの画面を僕に見せてきた。


「ああ、それね!ダンジョンに行かなきゃいいんだよ!僕は町で仕事をする*ワーカー*をするつもりだから、大丈夫だよ」

「・・・??・・うーん、ならいいけど・・・本当に、大丈夫ね?・・くれぐれも気を付けてね!」

あれこれと説明したい気持ちを飲み込み、僕はゲーム機を起動するために、自分の部屋に戻った。


ジョブ・ガチャ専用 ジョブ・ステーション


リアルな操作感と現実世界さながらの全画面3DVRアドベンチャーゲーム。

プレーヤーは実際に現実で、冒険している感覚に襲われる。

その理由は性別・身長・体重・心拍数・感情など、事細かに数値化、それをゲーム内で反映することにある。

このゲームがヒットした要因の一つが、プレーヤーの脳に直接、臨場感を反映する事にある。

これにより現実で感じる喜怒哀楽を、ゲームの中でも感じる事ができる。


数十年前から、理論上ではあったこの発想。

その発想を現実に変えたのはジョブ・ガチャの生みの親とされる『ドクターS』と呼ばれる謎の人物。

世紀の大天才と言われる彼のIQは推定300。そこへ多額の資金が世界の政府機関から流れていると噂されいた。


ゲームを起動後、ブレインと呼ばれる、専用コントローラを頭に被る事でプレイヤーはゲーム世界へといざなわれることになる。

しかし、世界中でこのゲームをプレイして、実際に死亡するプレイヤーが続出していた。

だが、それでも現実世界の苦しみから逃れる世界中の人々が、今なおこのゲームにやってくるのであった。


僕はこの日の為に、小遣いを貯めてジョブステと専用のコントローラー・ブレインを購入していた。

逸る気持ちを抑えて僕はセッティングしていく。

机に置いたジョブ・ステから伸びるアダプタをコンセントに刺す。

出力配線をブレインに装着、リラックスできるように僕は自分のベットに横たわった。


「これを被ってっと・・・それじゃ、やってみるか!」


心臓の鼓動が早くなるのを僕は感じていた。

僕の頭には少しだけ重たいブレインが装着されている。

僕は一人の部屋で、起動ボイスを唱えた。


『ディープ・イン!』


次の瞬間、ブレインから麻酔ガスが噴出される。

僕は一瞬で、昏睡状態にいざなわれた。


「・」


「・・」


「・・・」


「・・・・」


「・・・・・」



「・・・ここは!?」

目の前には、ここ最近毎日見ている光景が広がっていた。

ジョブ・ガチャのキャンペーンを知って、僕は無料ガチャを回すために、毎日欠かさずログインしていた。

ようやく、今日で連続30日になる。いつものログインページが僕の目の前に広がっている。


「ようこそ!雇用創出!!エンターテインメント!!ジョブ・ガチャの世界へ!!」


ビビットカラーの洋服を着た、可愛い女の子が僕の前に現れた。

女の子は両手を上げて僕を歓迎してくれる。


「連続ログイン!ありがとうございます。溜まったポイントを使い、キャンペーン中の無料ガチャを1回プレイされますか?」


「はい」 ← Enter

「いいえ 」


僕の目の前に選択画面が表示される。

僕は瞬きをして、はいを選択した。


「それではこちらの個人情報をジョブ・ガチャに反映させますが、よろしいですか?

利用規約にチェックをしてもらい『次』へをアイ・クリックしてください」


僕は女のこの話を聞き、利用規約を読み進めていく。

ちなみに、アイ・クリックとは目の瞬き(約2秒)で画面を操作する事だ。

ジョブ・ガチャのゲーム内部では、手や足、体を使ったプッシュ・クリックと、目の瞬きによるアイ・クリックとがある。

僕は簡単な目による操作で進めてみた。事前にプレイ方法は予習済みだ。


ジョブ・ガチャでは実際の個人情報を使ってプレイする事になる。

偽証や、匿名でのプレイは出来ない仕組みである。

最初はリアルでの見た目そのままでのプレイとなる。

のちのちは有料で見た目を変えれるみたいだが、それはまだ後の事。


「・・・・はい、入力ありがとうございます。いつも 銀河様ですね。

それではこちらのジョブ・ガチャの特設コーナーへお進みください。あなたの未来をお祈りしています」


そう言うと、画面の端に扉が出現した。

僕は女の子の指示する通りその扉へ近づく。

近づくと、手でクリックしてみる。


「!!」

押すと同時に僕の身体全体は眩い光に包まれた。

光から逃れるように僕はしかめっ面になった。

次の瞬間!


「うぉおおお!!!」

「はははは!いいぞ!!!」

「テメェーは運がねぇな!!!見てて最高だぜ!これで俺らといっしょだな!」


僕の耳におびただしい人の声が入ってくる。

眩んでいた僕の目が回復していく。

声に驚き僕は顔を上げ、会場を見渡す。


会場はドーム型の建物で、収容人数約50万人。それでもほぼ満席の状況。

僕が並んでいる、ドームの正面入り口。

左右に沢山の人が座席に座って、ジョブ・ガチャの様子を見ている。

自分以外の人が目の前で、一喜一憂する姿にみな盛り上がっている。


僕はしゃがみ込んで、床を触ってみた。

指先にザラっとした土の感触が伝わる、言われなきゃゲームだと分からないとおもう。

空や草木に至るまで、リアルなVR映像でゲームの中だという事を忘れてしまいそうだ。



正面にはペーパータブで見た、あの大型スクリーンが鎮座している。

会場の中央には、もちろんあのサングラスの男も健在だ。



「さぁ、今の人は惜しくもDランクの仕事となりました~!残念~♪一年間、仕事を頑張ってジョブコインを貯めてから、再挑戦してくださいね!では次のプレイヤーの登場だ!!!」


サングラスの男はわざとらしく残念そうなジェスチャーをして、次のプレイヤーを自分の前に招いていく。

すると、次の瞬間会場の一部分から、もの凄い熱量の応援が聞こえてきた。


「うぉおおおおお!頑張ってくださーい!応援していますーー!!」

「いつも、ありがとうございます!!!これからもよろしくお願いします!!!」

「おお、神よ!!私はあなたのおかげで・・・・今日も生きています!!!」


「神!神!神!神!神!」


会場の皆の視線が、その応援している人達に注がれている。


「さぁ!それではご紹介いたしましょう!!!・・・え・・っと!ジョブ・ガチャ・・運営・開発陣が選ぶ『いつも課金してくれて、マジ!感謝!』ランキングぅ~~!!3年連続ナンバ~~・・・・1!!!

それではご紹介いたしましょう!金ぁ・・・(かね)持ぃ・・・(もち)強ぃ!!!(つよし)」

サングラスの男が紹介して、金持強が会場の中心に立った。


「かねもち!かねもち!かねもち!かねもち!かねもち!!!」

「きゃー!!!つよし!すてき~♪」

「LOVE!つよし!LOVE!!つよし!!LOVE!!!つよし!!!」



先ほどの大声で応援していたのは、ジョブ・ガチャの運営、開発席だったようだ。

それにしても、なんと言うか・・・分かりやすい応援である。開発席の隣の、尻の軽そうな女達が便乗して歓声をあげている。

今も、もの凄い轟音が、会場の一部分から聞こえてくる。

ジョブ・ガチャは一人1回までと決まっているから、ゲーム内での課金額でナンバー1!なのだろう。

どれくらい使ったのか実際の額がが気になる、僕であった。


「さぁ、手元の資料によると・・・おお!ゲーム開始時から、課金額がもの凄い~♪これはマジ、ありがとう!と言いたくなりますね~♪まぁ、額は内緒ですけどね♪

アハハ!え・・・ガチャの成績はというと・・・初年度がCラング、2年目がBランク、3年目の去年がBランクと・・・なかなか良い成績だぞ!今年は是非、最上位Sランクを当てて欲しいものですね~♪あ、よいしょ!」

サングラスの男は、金持強のこれまでのジョブ・ガチャの戦績を手元の、ペーパーで読みながら話している。


ジョブ・ガチャの仕事ランク 光


☆☆☆☆☆ Sクラス 年間1人 約3億人に一人の割合で排出


職業は 光の勇者!


一年間みんなからモテモテハッピーな、パラダイスな日々を送る事が出来る。うらやましい!

人々があがめ奉る、最高の職業。

最下位のDランクワーカーとステータス的な差異はない。

しかし、最初から高度な魔法・剣術・クラフトスキルなど解放されている。

それにダンジョン冒険時のパーティーメンバーが最大の12人まで配置可能。(NPCでもプレイヤーでも可)

さらにさらに、ゲーム内のすべてのエリアに自由に行き来することが出来る(本当はプレイしながら逐一、解放していく事になる)

身の回りの世話をしてくれるNPCはいない。


☆☆☆☆ Aランク 年間10人 約3千人に一人の割合で排出


職業は 王(国王)


ステータスなどは上記(勇者)と変わらない。

広大な土地などを最初から所有(勇者は持っていない)

さらに、専属の可愛い(カッコイイ)NPCが付いてくる。10人。

NPCはプレイヤーの好みの顔や服装に、にカスタマイズすることが出来る(これも上位職業の特権)

NPCに高度な命令を下す事が出来る。

ダンジョンに潜っても、領内を発展させていく事も可能。冒険時のパーティーメンバーは8人まで。

プレイヤーが目的を自由に選べるのも、このジョブ・ガチャの魅力の一つでもある。

冒険用のスキルはなし。必要ならプレイして覚えていく事ができる。


☆☆☆ Bランク 年間100人 約300人に一人の割合で排出


職業は 領主(国王より土地が狭い)


ステータスは上記と同じ。

Aランクの国王の約10分の一の土地を所有。

専属のNPCは5人付いてくる、もちろん好みにカスタマイズ可能。

国王と同じで、冒険戦闘用のスキルはなし。専属のNPCにすこし高度な命令を下すことが出来る。

もちろん、ムフフな♪Hな命令も可能 ※例・パフパフなど(年齢確認アリ18歳以上から)

冒険時のパーティーメンバーは5人まで。


☆☆ Cランク 年間1000人 約30人に一人


職業は村長 


ステータスは上記と一緒。

Bランクの領主の管轄、小分けされた土地を取り扱える。

専属のNPCは3人、カスタマイズ可。

戦闘スキルなし。必要に応じて習得可能。

NPCに簡単な命令を下すことが出来る。

冒険時のパーティーメンバーは3人まで。


☆ Dランク 上記以外の、残りのプレイヤーが、ここからスタート。


職業は ワーカー


ステータスは皆同じ、プレイしながら育てていくスタイル。

専属NPCは1人まで、解放されている(ゲーム内課金によって上限を開放していける)

冒険時のパーティーメンバーは3人まで。

戦闘スキルなし。必要に応じて習得可能。

課金や冒険で上昇した数値は、新年度を迎えてもリセットされない。ガチャでの職業だけリセット。


仕事をしながら、身の回りの物を手に入れていく。

仕事は自分の好きな物から選ぶことが出来る。

そして自分の努力が瞬時に、ゲーム内に反映されることになる。

年間約3億のペースでプレイヤーが増え続ける、人気の秘密はこの自由さにあるだろう。


ゲーム内で稼いだお金は1ジョブコイン=1万の価値で使う事が可能。

しかし1ジョブコインは現実で使う事は出来ない。


僕は金持強がジョブ・ガチャを引く間、スクリーン横に表示されている職業リストを見ていた。


「う・・・ん、やっぱり光の勇者になってみたいよね・・・。でも闇の軍勢も悪くないしな・・・。でも本当はDランクのワーカーで十分だよね」

独り言を呟きながら、僕は頭の中で、アレコレとガチャの結果を妄想していた。


そのとき、一際会場の観客の声が大きくなった。


「属性は光!おおっと、Bランクか?・・・いや・・・・ここで画面が暗転~ん♪おっと、スクリーンが木っ端みじんに砕け散ったぞ~♪」

サングラスの男がスクリーンに映し出される映像を、そのまま大声で叫んでいる。

次の瞬間、画面にはAと表示された。


「あああっと!これはこれは!素晴らしい~結果ですね!金持さん!どうですか、今のお気持ちは?」

サングラスの男から今の気持ちを聞かれる金持強(かねもち つよし)

次の瞬間、両手に持っていたスーツケースをパカリと開く。


すると、中から一度も使用されていない、札束が現れた。

Aランクを射止め、顔の表情がほころんでいる金持強(かねもち つよし)

札束を掴むと、豪快に周りに投げまくった。


「おっと~!金持強さん、太っ腹だ!観客席に現金をまき散らしているぞ~~!これは拾わなきゃ損だ!アハハ!」

金持強があらかじめ連れて来ていた、部下たちが大型の扇風機で札を拭き飛ばしていく。

一時会場中が騒然となる大騒ぎだった。


僕はあんぐりと口を開け、必死に飛び回る札を拾う人たちを見ていた。

特に印象的だったのが、サングラスの男だった。

彼が一番、お金を奪取したと思えるぐらいな必死さだった。

その次は、見るからに尻が軽そうな女達。

彼女たちは、徒党を組み、見事なチームワークでお金を拾いまくっていた(まるで鍛え抜かれた、熟練兵の様な動きだった・・・)

しかも、彼女たちの周りには無数の倒れた人々が・・・。光の筋が見えた瞬間、一人また一人と倒れていく。

僕の肉眼では追えないスピードだった。その時の彼女たちのぎらついた目が、今も僕の記憶に残っている。


「・・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!(必死過ぎて疲れている)・・えっと、こりゃとんだハプニングでしたね~♪アハハ!・・・少々取り乱してしまいました~!お金に目が無くて・・・!

テヘ★ペロ!アハハ!それでは次のチャレンジャーです!どうぞ!!」

サングラスの男に促され、僕の一つ前の男性が会場に上っていく。

僕は自分の番が近づき、心臓が高鳴るのを感じた。


男性がスポットライトに照らされていく。


「BOO~!!BOO~!!」

「くたばれ!このボケがっ!」

「ちゃんと金払いやがれ!!!」


男性の姿を見え、また先ほどの場所から歓声が上がっている。

そう、ジョブ・ガチャの運営・開発席からである。


「おおっと、これは凄い!大ブーイングだ!!それではご紹介しましょう!・・・え・・っと!ジョブ・ガチャ・・運営・開発陣が選ぶ『マジ、こいつだけはぶっ殺してやりたい!』ランキングぅ~~!!3年連続ナンバ~~・・・・1!!!

只野雲ん~!!(ただの うん)」

サングラスの男はポケットから、ミネラルウォーターを取り出し一口飲んだ。


「えっと、なぜこんなにも、只野さんは嫌われているんでしょうね?えっ、手元の資料によりますと、只野さんは無料ガチャだけで、毎年良い職業を射止めてきたみたいですね!!すごい!アハハ!

初年度はAランク!2年目がBランク!3年目の去年がAランク!おおっとこれは、何という強運でしょうか?今年は是非Sランクを射止めて欲しいものですね!アハハ!」


サングラスの男の話を聞き、運営・開発席から大ブーイングが起こった。


「なにがSランクだ!ボケ~!」

「くたばれ!!くたばれ!!」

「マジ、殺す!マジ殺す!」


遠目の僕にも殺気が伝わってくる。

その隣で、尻の軽い女達が先ほどの現金の数を数えている。

親指を口に運び、ギターを弾くようなリズムで、唾をしみこませる。

しみこませた指をつかい、高速で現金の枚数を数える。もの凄い集中力である。恐ろしい。

しかも、あぐらの姿勢で、隣の人にパンツが見えようがお構いなしである。もう、見るからにオッサンである。



「やっぱりB以上の職業だと、稼げるジョブ・コインが違ってきますからね~♪運て大事ですね!ハイ!それでは早速ガチャを引いてもらいましょう!」

サングラスの男に促され、只野雲がガチャを引き始めた。

次の瞬間、正面のスクリーンで演出が始まる。


「さぁ、どうでしょうか?属性は光!・・ランクは・・おっと、Dランクか?・・・・さぁ、ここからチェンジ演出が発生・・・・・・・・しないっ!!!D、D、Dランクで~~す♪」

只野雲の職業が決まり、運営・開発席から先ほどとは一転して、大歓声が上がっている。

只野雲はその場で、しゃがみこみ項垂れている。その様子を見ていた、一部の運営・開発の人間は嗚咽しながら涙を流している。もちろん嬉しい涙である。


「・・・ざんねん~~♪これまでのガチャ成績は、ただの運だったようですね!さ、さっさと会場から降りやがれ!・・・あ、取り乱しました!テヘ★ペロ♪アハハ!それでは、次のチャレンジャーに移りたいとおもいます」

サングラスの男の司会を聞き、僕の心臓の脈打つ速さが上昇する。

しかし・・・・。



「・・・・えっと、あ、はい!ここで一端、中締めに入ります!さらに・・・この後は!あの方の登場だ!」

サングラスの男の話を聞き、会場中から大歓声が上がる。


僕は自分の番だと思っていたのに、肩透かしを食らって気持ちが宙ぶらりんになる。

「・・・・・ふぅ・・・・」

そんな僕に後ろに並んでいた男が話しかける。


「おい、兄ちゃん!アンタも勇者希望かい?」

声に反応して僕は後ろを振り返った。

すると、髭の伸びた老人が立っていた。


「はぁ・・・そうですね。まぁ、運が良ければ・・勇者になりたいですけど・・・。Dランクのワーカーでも僕はいいんです」

「・・・ふぅん・・そうかい!欲のないこったな!」

僕の話を聞き、老人が頷いている。

一瞬考えてから、老人が話し始めた。


「まぁ、でもよ?魔王でもいいだろ?カッコいいぞ!闇の軍勢も!ワシももう少し若けりゃな!ダークヒーローとして活躍してたと思うんだけど!

それに、魔王が排出される時のあの、何とも言えないサウンドがいいよな!それに専用の演出ってものあってな!その、吸い込まれる・・・・・・」


老人は聞いてもいない僕に、自分の話したい事を話し始めた。

僕は半分上の空で聞いていく。僕の特技の一つだ。


その時、僕の耳に大歓声が聞こえてきた。

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