第2回 羊祜と陸抗

 漢文大系本、第3巻、77ページ。

 西暦269年~273年。


 晋有滅呉之志、以羊祜都督荊州事。呉以陸抗都督諸軍。祜与抗対境、使命常通。抗遺祜酒、祜飲之不疑。抗疾、祜与之成薬、抗即服之、曰、「豈有酖人羊叔子哉。」祜務修徳政、以懐呉人。毎交兵、刻日方戦、不掩襲。抗亦告其辺戌、「各保分界而已、毋求細利。」


 晋、呉を滅ぼすの志有り、やうを以てけい州の事を都督せしむ。呉、陸抗を以て諸軍を都督せしむ。、抗と境に対し、使命常に通ず。抗、に酒をおくれば、祜、之を飲みて疑はず。抗、みて、祜、之に成薬を与ふれば、抗、即ち之を服して曰はく、「に人にちんする羊叔子有らんや」と。、徳政を修むるに務めて、以て呉人をなつく。兵をまじふる毎に、日を刻みてまさに戦ひ、ゑんしふせず。抗もた其のへんじゆに、「各〻おのおの分界を保つのみ、細利を求むるなかれ」と告ぐ。


 晋には呉を滅ぼそうとする意志があり、ようけい州の政事を監督させた(269年)。呉は陸抗にいくつかの地方の軍を監督させた(270年)。ようは陸抗と国境でたいしていたが、上からの命令は常に通告しあっていた。陸抗がように酒を贈れば、ようは何も疑わずにそれを飲んだ。陸抗が病気になると、羊祜が配合薬を与えたが、ようは(その成分がわからないのに)すぐにそれを呑んで、「人に毒を盛ろうとするようしゆくなどいるものか」と言った(しゆくようあざな)。ようは徳のある政治を行うことに務め、呉の人々に慕われるようにした。交戦するときは日程を決めてその日に戦い、奇襲を掛けなかった。陸抗も国境の守備兵たちに「それぞれ割り当ての国境を守ればそれでよい、小さな手柄を追い求めるな」と告げていた(273年)。

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