小辞典~2章~

・機械装甲服【ギアスーツ】

2030年代にロシア共和国で開発された個人用火力支援プラットフォーム。

戦車以下の装甲、電気駆動による筋力補助、人1人による装着。この3つが当てはまればギアスーツとして扱われる。

当初は大口径散弾砲やミニガンなど車載火器としては今一つな武装群を有効利用するための言わば間に合わせの兵器であったが2038年の北ユーラシア紛争において、ギアスーツの2個中隊によって相手の機甲大隊が敗北したという戦火が報告され一気に注目されるようになった。

多脚戦車やアモーカイトと比較すれば古い装備ではあるが、資金繰りの厳しい日本国内の警察組織にとっては未だに贅沢な装備であると言える。


・レッドスキン通信

皮下組織内に外科的手術で埋め込む生体通信装置。

末梢神経から伝達される電気信号によって充電・稼働し、所持者の生命活動が停止しない限り稼働し続ける。

約40キロ圏内での双方向通信を電気信号に変換し脳に届けることができるので声を出さずに会話することができるが、近代通信方法の中では障害物に比較的弱い側面を持ち、地上から地下4階分ほどを隔てると交換手による中継が必要になる。


向島むこうじま れん

年齢:36歳 身長:165㎝ 体重:78㎏

警視総庁特殊装甲1課実働班隊員の1人でコールサインは03。実働班におけるナンバー2で特装1課においては泉、畠山に次ぐ古株であった。

元々は陸上自衛隊の砲兵隊員であったがあずまの台頭による軍備縮小のあおりで隊は廃止され内勤に回されそうなところを泉にスカウトされた。

班内では小隊長的立ち位置でメンバーをけん引し、必要とあらば実力行使に出る際の先陣を切ることも多い。

性格は実直かつ豪胆、必ずしも人当たりの良いとは言えない旧世紀的な武骨漢であるが、平時には人並み以上の優しさを見せることもある。

実家は海苔の養殖を営んでおり、故郷へ年2回の長期休暇以外にもたびたび帰郷しているところからも彼の内面の温かみが垣間見える。

趣味は大衆店の食べ放題。


安西あんざい 匠太朗しょうたろう

年齢:28歳 身長:174㎝ 体重:72㎏

警視総庁特殊装甲1課実働班隊員の1人でコールサインは06。

ギアスーツ装着手で実直かつ冷静な判断力を持つ中堅隊員だが、仕事中の私語が多くよく現場の上司(主に仁藤)にたしなめられている。

スーツの運用においては隊の中で随一で総庁内でも3本の指に入る使い手であり、特に推進機を使った飛行技術に秀でていた。

まだ20代ではあるが若年層の割合の多い現在の警視総庁内ではこれでもベテランの域に入り、配属の翌年からその年の新入隊員であった相良達の指導に当たっており、そのしごきはかなりの物であったという。

豊田市の駐屯所の私室に泊まり込みで勤務していたが、これは趣味でありライフワークでもあった競艇への依存を断ち切るために行っている「治療」であると彼自身は周りに話していた。後年、それは居住費を節約し浮いた金銭を保護動物の飼育団体への寄付に回していた為であったと判明したが、直接の後輩であった相良をはじめ部隊内の誰一人として彼の言い訳を信じ切っていた点は、彼の人柄に対する評価を二分する大きな要因でもある。

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