小辞典~1章~

・56式狙撃銃【アリサカ】

2056年に自衛隊装甲大隊に配備された狙撃銃。

対装甲超硬タングステン弾を独自規格の電磁加速と圧縮空気によって加速し目標に対して過剰とも思えるほどの貫通性能を実現させている。

戦車の正面装甲を貫いて操縦者を直接排除できるが弾種の関係で炸裂弾が使用できないことと、適切な使用と維持管理に複数名の手を必要とする点から翌2057年にはアメリカ製のM09に取って代わられ、以降は警視庁の武器保管庫に死蔵されていた。


・OW-32【ハミングバード】

2065年にアメリカのオズワルド工廠で開発された垂直離着陸型強襲兵員輸送機。

両翼の可動式ジェットエンジンにより高い機動性を誇り、内部の兵員スペースにはフル装備の陸戦隊員が20名ほどまで搭乗することができる。

武装は機首部分の20ミリチェーンガンとオプションの多連装ロケットポッドが存在するが、特殊装甲1課の配備されているのは中国軍から払い下げられた廉価版でこれらの武装はあらかじめオミットされている。


・マグナロ

製品名はマグネティックラインアロー。磁力で金属目標への命中率を大幅に高めたボウガンの一種。

電力供給用の専用発射台から放たれる長さ30センチの矢は強烈な電磁誘導によって事前に設定した金属目標に飛来し、張り付いた軟性弾頭が目標の至近で炸裂する。

命中率の高さと弾頭の身の交換で屋の部分を使いまわせるコストパフォーマンスの良さから、所轄の交番勤務などに配備されているが、日本国内のその殆どは発射台内部のプログラムアップデートが十分でない為にいざ使おうとした際の所謂「エラー落ち」が問題になっている。


・PCP

Personal compact pistol(パーソナルコンパクトピストル)

ASA加盟国家内で唯一民間で販売可能な小口径拳銃。口径は3.5㎜。

炸薬量を極力減らし、筋繊維を貫くギリギリの威力を実現しつつ、護身用火器としての機能性と共に「暴漢へのけん制的機能」を維持する観点から見た目は同製造メーカーの10㎜モデルとほとんど変わらない。

紅は莎緒子から「外で出歩くときは必ず持ち歩くように」と言われているが当の本人は面倒がって車のダッシュボードや部屋の机の引き出しにしまいっぱなしにしている。


・ジオフロント名古屋

2060年着工、2064年完成。

地下面積約15k㎡、名古屋市とほぼ同じ広さを誇る多目的巨大地下空間。

戦後の高景気を象徴する巨大地下空間は設計から実際の建設に至るまであずまらAIが指揮を執って作られた。

元々は数多くの国内企業を誘致する予定で作られた高級都市であったが、現在ではASA管理下の臨時国家である日本の運営方針を決定するための会議室代わりとして扱われるまでになっている。

内部には議事堂、高層ビルの他、公園や住宅地なども併設されているが広大なスペースに対しその使用者は一部の官僚のみと微々たるもので、災害時の避難設備には利用しにくいつくりも相まって持て余されている。


・自動人形【アーマン】

全身を機械で構成された自動制御人型端末、所謂人型ロボット。

無線制御型と自立駆動型があり、前者は人間の組んだプログラムで、後者は複製された専門業種AI「分霊」を搭載しそれが制御する形をとっている。

多種多様なモデルが存在し様々なメーカーの物が世界中で使われているが、日本国内では民間による所持や製造がほとんどの県で”条例”によって規制され、公的執行機関で使われるそれも「無線制御型の屋内使用に限る」と用途が限定されている。


・炭素弾(液化炭素弾)

劣化カーボン液によって製造された弾頭。

繰り返しのリサイクル処理によって劣化した廃棄製品、その最終処理状態である「第6カーボン液」を高温圧縮処理し製造することで従来のフルメタルジャケット弾に比べコストを大幅に抑え、尚且つ低い貫通性によってターゲット以外の副次的被害を抑える効果もある。

液化炭素弾は高温圧縮処理を省き、専用規格の銃器の薬室内で直接加熱と発射を行う弾薬の事。粘性の高い弾頭は液体に近い状態で目標に飛来し、その高温によってターゲットの衣服や皮膚組織を炭化させて吹き飛ばすことが可能となっている。

非殺傷兵器を求める警察組織に普及しているが、弾頭が体内に残りやすくなる点や高温による非人道性がたびたび問題視されている。


・液化臭機

内部の香り付き液体を電熱で蒸発させその際の香りを楽しむ嗜好品。

寒冷化の影響で嗜好品の原材料が軒並み値上がりした影響で、より安価に人工的な香料を合成した香りで口元を慰める者の為に作られた機械である。

ちなみに2080年時点でタバコ1本の価格は同サイズの純銀と同じである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る