3_Rainy

雲ひとつない快晴だ。


きっと部活をしている人達にとっては

今日は良い日になるのだろう。




私は学校に行き、完成した歌を

頭の中で反芻していた。


教室に入り、自分の席へと歩く。




なんだろうか。

今日は教室の様子がおかしい気がする。

自分の席へ行き隣の席を見た。

尾崎君はまだ学校に来ていないようだ。


「みんな揃っているか?」

先生がもう教室に来た。

尾崎君は遅刻なのだろうか。



「みんな、今日は大切な話がある。

 一部の生徒は知っているかも知れないが」


なんだろう。

胸が痛い。

聞きたくない。


その先を





聞きたくない!



「尾崎が昨日、交通事故で亡くなった。

 原因は相手の居眠り運転が原因との事だ」





『錆ついた公園 

 

 大きな木の下で


 雨宿りしてた』



先生の話を聞いてから記憶が曖昧だ。

今日の夜、みんなでお葬式に出るということになった。



私は日本に詳しくない。

だから不謹慎なのかもしれない。

でもどうしても伝えたかった。

聞かせたかった。




『君と私

 

 Rainy Day  Rainy Day


 最初の思い出


 蝉しぐれの様な淡い雨の音色


 静かにキスをした


 君と私

 

 Rainy Day  Rainy Day


 最後の思い出』




写真の中の尾崎君は笑っている。

でも皆泣いている。

尾崎君の父親と思われる人が、

参列者の男性に殴りかかっていた。

「お前のバカ息子のせいで!

 俺の

 俺の息子が………っ

 返せぇえ!!!

 息子を、健吾を返せ!!!」


「本当に……

 このたびは、大変な事を……

 なんとお詫びを……」




視界が滲む。

目の前が見えなくなってきた。

私は会場の外へ出て、

あの日、

尾崎君と少しだけ話した公園に向かった。




『水溜りを覗いて

 

 私の隣に君はいない


 そんなことは分かっているのに


 夏の


 通り雨が降り 

 

 君の香りが消えてゆく


 幻だったって


 伝えている


 Rainy Day  


 全てのみこんで


 モノクロに変えてゆく


 幻だったって

 

 伝えている』




すごした時間は短かった。

でもこれからも一緒にすごしたいと思っていた。





『雨の帰り道


 大きい傘が開いて


 愛確かめ合う


 君と私


 Rainy Day  Rainy Day 


 大切な思い出


 ふたりの姿映した


 水溜まりはもう見れないこと


 そんなことは


 分かっているのに


 夏の


 通り雨が降り 


 目に写るモノ滲み


 幻だったって


 伝えている」




もう頭をなでてくれない。

もう笑って私に話しかけてくれない。

一緒に帰ることも出来ない。



私は





『君が好きだった

 

 夏の優しい雨

 

 今の私には

 

 とても

 

 冷たくて


 君がいない夏


 あと何回


 過ごせば


 いいのだろう?


 不安と孤独の涙こぼれる

 

 通り雨が降り


 君の香りが消えてゆく


 幻だったって


 伝えている


 Rainy Day 


 夏の


 通り雨がやみ


 残った水溜まり


 私の姿だけ


 写っている


 この先も何十年も


 君が好きだった夏の雨


 虹を作り


 始まりをくれた雨

 

 幻のように』








雨は止んだ。

「…尾崎君聞こえたかな。

 私の歌…出来たよ」



 

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My weather カール @calcal17

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