21.儚い努力を

私が命を全うし終えるまでに詩人になれなければ

私の生きたそれまでの時間も それに対する行為も全てが無駄になってしまう


私は詩人というものは「年相応になるもの」だと思っているが

茫漠とした時間の中を ただ生き永らえていればよいと考えている訳ではない

その「茫漠とした時間」の中で 詩を何編何十編何百編と書き続けてこそ なれるものであると考えている

だが残念な事に 私はこれまでの時間の中で 詩と言えるものを書けた例がない

詩人になれるなれない以前の問題が 私の前には立ち塞がっているのだ

単純に 一編の詩を書く事すら困難としているこの私には 今のところ何の希望もないという事になる


私は空しさや侘びしさに堪え忍ぶという事を知らないし

生きとし生けるものならば当然受ける筈の苦痛も受けた例がない

そんな私が そもそも命を全うできようものなのか

詩人になるという決意も その事を考えると瓦解し兼ねない

だがそうならない様 今はただ 茫漠とした時間の中で 書けない詩を何編何十編何百編と書いていくしかないのだろう

だがもし 命を全うし終えるまでに詩人になれなければ

その時私は 空しさや侘びしさに堪え忍ぶ事を知り 受けるべき苦痛を受けるのかもしれない

そうしてやっと全うな命になれるのかもしれない


折に触れて詩人になりたいと思う私には それ以外に夢がない

たとえ夢をいくつでも叶えられるとしても 私の叶えたい夢はそれ一つだけだ

だから私は この「茫漠とした時間」の中で 全てが無駄にならない様に 「詩」でも何でも書き続けていくしかないのである

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