19.食べ物について

食べ物とは何だろう

僕たちが「食べ物」と呼んでいるものは

別に僕たちに食べられるために生まれてきたわけじゃない

僕たちが勝手に彼らを食べ

そして食べられたら食べ物

食べられなかったらそうとは呼ばないだけで

そもそもこの世界に本質としての食べ物などあるのだろうか


雑食の僕たち人間にとっては

理解するには及ばない話かもしれない


でも時として

僕たちも僕たちより大きな動物に食べられることがある

僕たちよりも小さな動物に食べられることだってある

でもだからと言って

僕たち人間は自分たちのことを「食べ物」と呼んだりはしない


それはどうしてか

それはやっぱり僕たちが「食べ物」ではないから

僕たちは「人間」として生まれ「人間」として生きている

人間は本質的な食べ物ではないのである

そしてそれは牛や豚も然り野菜や果物も然り

僕たちがそれらを本質的に食べ物と呼びたいのであれば

牛も豚も野菜も果物も一括りに「食べ物」と呼ぶべきだったのだ

どうせ食べて消える命たちに

なぜどうして僕たちは個個に名前をつけたのだろう

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