17.律呂津津

憎むべきは己 愛すなど論外 赦すなど言語道断

人の子としての才覚など皆無なのだから

差し伸べられる手など無いと思い知るべし

経験も知恵も無用 気概など持たぬがよいに決まっている

恩と仇を履き違えて 形骸 蛻 見るも無残

人の皮を被った獣ですらない

獣の肉を食い散らかす有象という動物

光の下では生きられぬ無象という植物

汚れなき心など 遠い夢の 其のまた向こうの現

一縷の望みはその中で喘ぎ喘ぎ

求めるは 欲するは 決して囚われることのない秩序

嵌まることのない型を液体で満たし 其の中で孵れない無精卵と化す

孵化など不可 羽化など不可 体細胞が生殖細胞をそして取り込む

聞き慣れない産声で我に返るくらいなら

目も眩む程の閃光に気を散らすべきではない

太陽が飲んだ月も 月が食んだ夜も 返上されぬまま帳は下ろされ

海辺の砂が昨日の波に打たれる時 知性は失われ 地平線の彼方をひた走る影となる

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