8.少女漫画
主人公の女の子には 幼馴染の男の子がいて その子に淡い恋心を抱くようになっていた
でも 想いを伝える勇気はないまま 月日は過ぎていった
二人が大人になっても 二人の距離は縮まらず そのうちに男の子は 別の女の子のことを好きになった
男の子が恋の相談相手に選んだのは 奇しくも主人公の女の子
久しく顔を合わせて話していなかったからか その子は複雑な気持ちを抱えながらも 内心どぎまぎした
女の子は男の子の相談に乗るたび 応援していると言った
でも ひとりになった時 罪悪感に押しつぶされそうになる時があった
自分は想いを伝えることはないけど でも彼は・・・ と先のことを考えたくもないのに考えてしまうこともあった
女の子の心にはまさに暗雲が垂れ込めていた
男の子が嬉しそうにあちらからやってくる
報告したいことがあるんだと言っていた
電話で話せることを わざわざ会って言いたいんだという困った話だった
わざわざ呼び出してなんの話? と思っていたことをぶつけてやった
男の子は少し困った顔をして俯いてしまった
そのまま何も言わない男の子にイライラしながら
どうせあの子のことでしょ と思っていたことを つい口に出して言ってしまった
女の子は一瞬たじろいだものの でもどうせそのことでしょ?よかったじゃない と勢いに任せて言ってやった
そこでとうとう男の子は顔を上げた
そこには 女の子の見たことのない決意に満ちた表情が浮かんでいて
男の子は口を開いて ついにその言葉を言った――
そんな昔の夢を見たある日 老女は出掛けた先で 出合い頭に男の子にぶつかられた
倒れ込んだその子に 大丈夫?と声をかけた時
顔を上げたその子の顔と 今日夢に出てきた男の子の顔とが重なった
自分なんかのことを好きになってくれた彼のことを 彼女はふと思い出した
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