6.未来を思い出す

一生を全うしようと決意したその時から

記憶は過去を捉えるだけのものではなくなっていた

一生分の記憶として立ち所に補完され

過去を思い出すが如く未来を思い出せるようになっていた


それは記憶であるから

「未来は変えられる」という件の希望は持てない

それが記憶であるから

変えたいと思う未来があっても想像するしかない


しかし今となってはもう

希望に縋る必要も想像に頼る必要もないのだと思っている

一生分の記憶を保有する者として

過去を受け入れるが如く未来を受け入れなければと思っている

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