切らない二重〜埋没法

埋没法。

ひと昔まえに「プチ整形」といえば、これでした。

現在はヒアルロン酸とかボトックスなどに「プチ」の座を明け渡しています。

が、とにかく切らないので、手軽な整形といえます。


まあ、そうはいっても、ちょこっと1ミリくらい、何カ所か皮膚を切る場合が多いですが(わたしは針の穴だけでやります)。

糸を結んで切って埋め込むので法と呼ばれます。


気軽に受けられる手術だし、縫合しなければならない切り傷を生じないので、切る手術より料金を抑えていることがほとんどです。

だから


「あなたの場合は、まぶたが厚いから切らないとムリです」


なんて、切開する方法を勧める医者も多いです。

そのほうがお金になるから。

それに、切るほうが優れていてエラいと勘違いしているから。


ノンノン!


埋没法は、切って縫う切開法の二重手術よりも、ほとんどの点で優れています。

実際に、どんなオペかといいますと……。



1)構造上、本物と同じ二重を作れる


まあ、これは切開法と一緒なのですが。

まぶたの皮下には、瞼板けんばんという軟骨でできた長方形の薄い板があります。

これに目の奥から来ている筋肉(眼瞼挙筋がんけんきょきん)がくっついていて、瞼板をひっぱると目が開きます。

二重のひとでは、この眼瞼挙筋が枝分かれして、まぶたの皮膚にも裏側からくっついているのです。

すなわち、瞼板をひっぱって目を開けると同時に、二重のラインの裏でも皮膚をひっぱって、奥深い二重が出来ます。


一重のひとは、この枝分かれがない。

なので、瞼板と皮膚を、ごく細いナイロンの糸で連結させてあげて、挙筋で瞼板をひっぱると一緒に皮膚もひっぱる作りにしてあげると、一重のひとも二重が出来ます。

これは、本物の二重と同じ構造になります。


瞼板と皮膚の連結は、ごく細いナイロンの糸のループによります。

ちいさな結び目を皮膚のすぐ下に埋め込むので、埋没法です。


皮膚を切る切開法でも、じつは埋没法を加えています。

そうすると、耐久性のある、しっかりと奥深い二重ができあがるのです。

切開法のほうが奥深くて長持ちすると考える医者が多いです。

しかし、誤解です。

ナイロンの糸ではなく、切開法では皮下にできる瘢痕(キズアト組織)で、瞼板と皮膚を連結させるのですが、瘢痕ほど伸びやすくてもろいモノはありません!

なんとなく連結されるのですから、心許ないのです。

だから、モノを知っている医者は、切開法に埋没法を加えるのです。



2)腫れや内出血斑が少ない


もちろん、局所麻酔を1mlも注射してしまったら、腫れが大きくなります。

また、ナイロンの糸を力いっぱい結んでしまったら、ひどい腫れが1ヵ月経っても引かないということにもなります。

ちょっと出血したなと思っても、押さえたりしないで何もしないでいると、濃い紫色が広がって、殴られたようなアザになります。


へたくそな医者は、どんな方法を使っても、へたくそです。

皮膚を切る手術は、切らない手術と比較して何十倍、何百倍もの毛細血管を傷つけるので、へたくそだとなおさら救いようがありません。


埋没法では、良心的な医者では麻酔は両側トータルで0.2〜0.3mlくらい。

適切な場所に注射することで、この量で痛みは感じなくなります(怖いという感情は取れませんが)。

ナイロンの結び方は適度に。

そうすれば、手術直後に外を歩いても、知らないひとには気がつかれることがありません。

顔見知りのひとには、「二重になった」、「ラインが広くなった」、「泣きはらして腫れてるみたい」と気づかれますが。



3)ナイロンの糸を抜去すると、もとに戻れる


ナイロンで連結しているから二重が作れるので、取ってしまうと、ほぼ元通りになります。


ちなみにナイロンの糸は、身体に一生残しても問題ない素材です。

金属は腐食するし、大昔使っていた絹糸けんし(絹の糸。お腹の中の血管を結紮して残したりしていました)は癒着の原因になったりしますので、これらは埋没法には適していません。

溶けないので、溶ける際に加水分解反応で周囲に刺激を与えることもありません。





以下、次話に続く〜



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