フェイスリフト手術は最高?
昔のひとたちは、30過ぎて40代にもなると、かなり皮膚が伸びてしまっていました。
50代以降では、シワシワ&蛇腹状態なのでした。
当時はUVカットが重要であるとか、保湿が必須であるとかの発想はありませんでしたから、皮膚の老化、伸びは現代よりもかなり激しかったでしょう。
また、マグロの大トロや大量にサシの入った黒毛和牛などを食してはおらず、日本食は粗食でしたから、ほっぺたに脂肪が豊富にある状態のかたはあまりいなかったでしょう。
海外でも、だいたいにおいて同じような状況だったでしょう。
そのような時代では、顔面の余った皮膚を切り取って多数あるシワを大幅に減らさないと、若返りが実現しません。
耳の前あたりからエラ〜うなじ付近で皮膚を切り取って、前方からななめ上、後方に引き上げて縫い合わせます。
皮下の筋膜(
これが若返り手術として有名な「フェイスリフト」です。
昔の女性たちにとって、これは有効な手段でした。
しかし、現代では女性の皮膚はほとんど伸びません。
ちょっとだけ伸びる。
そのため、皮下の脂肪を押さえられない分だけ出っ張るのです。
脂肪がたっぷりあると、ブルドッグのようにたるむ場合もあります。
「フェイスリフト」で頬をななめに引っ張り上げると、どうなるか。
頬の出っ張りは引っ込んで、一見いい感じで若返ったように感じます。
しかし、重大な問題があります。
「引っ張り上げた皮膚や筋膜が、しっかりと固定され続けて後戻りしなくとも、やっぱり皮膚は伸びてしまう」
頬の豊かな現代の女性のフェイスラインを引っ込ませるくらいのテンションで引き上げたとき、皮膚はパツンパツンに張ってしまいます。
引っ張っていなくとも自然に伸びてくるのが、もともと「老化」の正体なのです。
すなわち、引っ張ったら1〜2ヵ月で皮膚が伸びてしまいます。
元通りにまで戻らないまでも、効果がかなり減ってしまいます。
フェイスリフト手術で、術後にメンテナンスと称して何度も引き上げを繰り返すのは、このような事情と深い関係があります。
固定したところで外れてしまうインチキ手術は論外ですが(耳垂=耳たぶがななめ下方に引っ張られて変形するので、外れたことはすぐに分かる)。
もう一つの問題点は、強く引っ張り上げるので、
「口角がつり上がる傾向がある」
これ自体は好みの問題もあります。
しかし、落ち着いて考えると、数十年前の少女だったとき、みんな口角がつり上がっていましたか? ということなのです。
もとより、顔のバランスを変えることは「若返り」ではありません。
顔を改造してキレイになるということです。
これらふたつの点は、皮膚の伸びが非常に大きく目立っていた昔は、問題にはならなかったでしょう。
大きく余った分だけ皮膚を切り取るのだから、術後に皮膚にテンションはかからなかったでしょう。
つまり、フェイスリフト手術は現代までにその役目を終えています。
そのことに気づかずに、わたしもたくさんの症例で手術をしました。
腫れない方法をとり(帰宅後の圧迫固定がなくとも血腫を生じない)、後戻りをしない工夫をしても(耳たぶの変形が全くなし)、それでも皮膚のテンションは下がってまた伸びてくるのを経験しました。
きれいに縫合するとはいえ、耳前部から耳垂、耳後部、項部へのキズアトはゼロにはできません。
かなり高度な技術を必要とし、手術時間もかかり、費用もかかるからといって、この手術が最高の若返りといい張るのは、もうムリです。
次回は、ではどうすればいいのか?
PS:
本文中で「フェイスリフト手術の固定が外れたり、あるいはもともと固定もしないインチキ手術だったりしたときに、耳たぶが斜め下方にひっぱられて変形する」と記述しました。
手術後ではないけれど、これに似た耳垂の形になっている場合はよくあります。
まるい耳たぶがあまりない、小さい、あるいは耳たぶがほとんどない形態です。
「付着耳垂」などといって、耳垂変形という病名でくくられます。
外傷性の場合もありますが、生下時からのケースが多いです。
この場合、耳たぶは斜め下方ではなく、下方にひっぱられたような形に見えることが多いです。
また、耳垂周囲や耳介の裏側〜頚部に切開縫合のキズアトがないことで、手術後ではないとわかります。
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