キズアト(7:キレイにするには②)

5センチくらいの丸いキズアトやタトゥーは、どうするか。

キレイにするために手術して、結果、いかに細いとはいえ15センチのキズアトになってしまったら、ちょっとショックです。

でも皮膚移植するより、切除&縫縮のほうがキレイです。

とはいっても、大きなものを切り取ったあとキズを閉じようとしても、周囲に余裕がなくて寄せきれない場合があります。

パックリ開いたままにするわけには絶対いきません。

したがって下記の方法を考えます。


1)何回かに分けて切除&縫縮


丸いものの中だけで1回切除して縫い縮める。

これにより「丸形」から「細長」に形が変わる。

3ヵ月くらいたってから、細長を紡錘状に切除&縫縮。

これにより、長いキズアトになるのを避けることが出来ます。

連続切除、縫合などと呼びます。

これは皮膚真皮が伸びてくれることを利用しています。

過去に腰の大きなタトゥーを、この方法で全切除したことがあります。

あまりに大きかったので、キズアトも長く多方向になってしまいましたし、長い期間がかかりましたし、患者さんの負担も大きかったです。

が、その場所に刺青があったとは気づかれない結果になりました。

皮膚移植では、取ってくる場所の負担が大きくなったでしょう。また、全層植皮では採皮が不可能だったでしょう。


2)周囲の皮膚を伸ばしてから切除&縫縮


皮下浅いところに風船を入れておく。

数日おきくらいにそこへ食塩水を注入して、徐々にふくらます。

数週間すると、風船の上の皮膚が伸びている。

そろそろいいかな、と風船の水を抜いて抜去する。

そこで隣にある大きなものを切り取って、悠々と閉じる。

これにより、腕や下肢など皮膚に余裕のない場所でも切除が可能です。

頭部の禿髪とくはつ(ハゲ)にも用いられる方法です。

風船のことを「ティシュー・エクスパンダー(組織拡張器)」などといいます。

皮膚って、簡単に伸びるのです!


3)上記1)と2)の混合





では、それほど大きくないタトゥーや、手首のたくさんの切り傷、おなかのたくさんの妊娠線はどうするの?

次回、「タトゥーにはレーザー?」。


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