キズアト(5:男女の差&瘢痕をなくせる?)
男女でキズアトの形成に差があるでしょうか。
エストロゲン(女性ホルモンのひとつ)は線維芽細胞(繊維組織のもとのようなもの)の活動を活発にさせます。
繊維組織の量が増えれば瘢痕量も増えるはずです。
ではエストロゲンでキズアトは目立つようになるのかというと、そうともいえません。
線維芽細胞の活動が上がり、それによって治癒が促進されて早期にキズが閉鎖されます。
その時点で「キズは治ったよ」という信号が発せられれば瘢痕形成は終わります。
結果、キズアトはキレイに仕上がります。
つまり、本当の問題はキズがどれだけ「早く接着」されて、いかに「速やかに活動を終える」かという点なのです。
したがって、いちがいにはいえません。
では一方、線維芽細胞の活動を低下させると治癒が遅れるかというと……。
「トラニラスト」という物質は、線維芽細胞のコラーゲン生成(繊維組織生成)を阻害することで、ケロイドおよび肥厚性瘢痕の治療薬として保険適応になっています。
ものすごく効くものではないですが、飲むとややいいかな、という薬です。
これを何ヶ月も服用するのですが、縫合直後から使用することもあります。
それでキズの治りが悪くなるかというと、そんなこともありません。
いったい、どうなっているのでしょう。
はい、西洋医学ではとらえ切れていないのです。
人体は複雑すぎるのです。
キズが治るときに瘢痕をゼロにすることはできません。
もうある瘢痕をなくしてしまうことも出来ません。
切って取って、前よりキレイに縫うしかありません。
ケロイドに至っては、圧迫したり、トラニラストを飲んだり、ステロイドを注射したり、放射線を当てたり、ケロイド内切除(端っこをわざと残して縫い縮める)をしたり、いろいろしても、満足のいく結果を得ることは困難です。
わたしの豆知識なんて、まさに「豆」。
いや、ほんとうの豆さんたちにも失礼なくらいの「原始的知識」です。
本題に戻ると……汗。
一般に男性のほうが皮膚は厚い傾向があり(身体も大きい)、皮膚のテンションが高く(筋量が多い)、活発に身体を動かす(キズアトの幅を大きくする力がかかる)とすると、男性のほうが瘢痕は目立つとしていいと思います。
わたしの経験は、いまのところ、この考えを支持しています。
次回は、キズアトをキレイにするお話しです。
術後のひどいキズアトとか、根性焼きとか、タトゥーとか、自傷のあととか。
あるいは妊娠線とか。
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