第2話 シャチクピンクの場合1

地下アイドル戦国時代。

そう言われてもう久しい。

メイク、ライティング、画像加工…あらゆる技術を使いSNSにアップすれば普通の女の子でも「アイドル」と名乗れる時代なのでアイドルとして消費される女の子たちが飽和しているのも事実だ。

(今日はステージで明日はグラビア撮影…帰ったらブログ更新してブログ用の写真撮りためておかなきゃ)

いつもの衣装…マオカラーがチャイナ風のミニ丈ワンピースに着替えながらスケジュールを確認した。衣装の色はイメージカラーでもあるピンク・・・少し布地にくたびれた感が出て来たのを見ると自分自身の疲れも自覚してしまった。

「アイドルって結構、社畜な職業だと思うの…」

社畜は「会社」の「家畜」。

アイドルも芸能事務所に所属している「会社員」なのできっと自分にも社畜と名乗る権利はあるはずとひとりごちした。

競争相手はごまんといる。

そんな中、飽きられないように高頻度でステージをこなし常にブログで私生活「風」の情報を流し新しい露出媒体を探す。

3人組アイドルのセンター、地上波ではないが深夜番組にもレギュラー枠を貰えてるしアイドル専門誌のカラーグラビアも飾れる。

地下アイドルとしては悪くない売れ行きなので事務所もそろそろ大きな仕事を取ろうとしてるらしい。

ショッピングモールでのアイドルイベントやアイドル雑誌だけではなくドラマや舞台のオーディションも少しずつ増やされてきた。

自分たちの出番まであと20分。

他のメンバーはいつもの瞑想したりSNS用の自撮りに勤しんでいたりと各々自由にステージまでの気持ちを作っていた。

スマートフォンでマネージャー・・・勿論、このチーム専属ではない・・・からのメールに添付されたオーディション予定に目を通した。

「シャチクイダー?なにそれ」

先程自分を社畜だと思った数分後に外部情報で同じ言葉を受け取った偶然に何だかくすりとした。シャチクイダー・・・戦隊モノ・キャストのオーデションかもしれない。悪と戦う女戦士って恰好良いかもな、なんて思いスマホの電源を落としステージ後に詳しく確認しようと思いステージ前最後のメイク直しに取り掛かった。


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