社畜戦隊・シャチクイダー

@trisbufferph7

第1話 ドクトルブラックの場合1

論文執筆に夢中になっていたらいつの間にか日付が変わっていた。

助成金申請の書類と比べたら論文作成は癒しの時間にも思え、ついつい時間を忘れて没頭していた。

Material & Methodを書き終え、一区切りついたので秘書がコーヒーメーカーで作ってくれたコーヒーを口に含むと保温機能のお蔭で作りたてのように温かいが酸味が強くなっており、かなりの時間、放置されていたことが伺えた。

大学病院の医師として昼間は診察、午後は準教授として教壇に立ち夕方から夜まで学生たちへの指導をすると結局、自分の『研究者』としての仕事は夜遅くからの開始となってしまう。

(所属は会社ってワケじゃないが医師って仕事も大概にブラックだよな・・・流行りの社畜ってやつか・・・)

ぼんやりすると脳内に明日の診療予定と会議のアジェンダが浮かんできた自分に気付きワーカホリック気味だと自覚した。

またデスクに戻り仕事を始めると明け方近くまで続けてしまう恐れがあるので仕方なく帰り支度を始めつつ放置していたスマートフォンを取るとつぶやき型SNSの新規投稿が表示された。

「社畜戦隊?なんじゃそりゃ」

社畜だなって思った直後にSNSでその単語を見るなんてとくすりとしてしまった。

「社畜戦隊募集?…社畜たちをブラック環境から救う仲間を募集してます…」

誰もいない研究室で思わず声をだして読み上げたのは内容の奇異さと深夜のテンションのせいだろう。

(面白そうだからフォローしとくか…)

普段はなかなか押さない「フォローする」のアイコンをタップした。

社畜過ぎるのは良くないよな、と後片付けを済ませて真っ暗な研究室を後にした。

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