11.ご馳走とスライム

「話が終わったんなら、さっさとアイツの解体しようぜ」


 あ、そうだった。

 フェリとキャッキャウフフばっかりしてる場合じゃなかった。


「あっ、ごめんなさい! すぐ、手伝います……!」


『よーし、要らないところはボクが全部食べるよ~。どんどん刻んじゃってー!』


 ――ぽいーん!


 改めて近くで見ると、このミノタウロスでっかいなぁ。

 すんごく食べごたえありそうな牛肉(?)だ!


 ハッ! もしかして、スライム生初のゴチソウなのでは?!


「えーっと、金になる部位はーっと……」


「一番は角よね? あとは皮だろうけど……私達でやるの?」


「せっかくニイムがいるんだ、出来るだけ持って帰りたいところだな」


 なんて言いつつ、みんなで手分けして解体していった。

 体が大きいから時間がもう、かかる、かかる……。


 でも、なんとお肉のほとんどはボクの食事になった!

 まぁ野生のモンスター肉だもんね、普通の人間は食べないし利用価値も無いよね。

 へっへーん、ラッキー♪




 解体が済むと、そのまま昼休憩にしようってことになった。

 クリス達は普通のご飯、ボクはミノタウロスご飯だ!


『いっただっきま~す!』


 ――じゅわわ~、もぐもぐもぐ……


 >ちゃららっちゃらーん♪

 >スライム は たいりょく が 10 あがった!

 >スライム は ちから が 10 あがった!

 >スライム は かたさ が 5 あがった!


『むっは~、おーいしーい♪』


 いや~、さすが中ボス。

 食べるだけで力がみなぎってくるぅ~!

 もっとだッ! もっとくれぃッ!

 

「おーおー、ウマそうに食うねぇ」


「ミノタウロスって美味しいのかしら……」


『美味しいよー、ふふふーん♪』


「そういえばニイムは食べることでステータスが上がるって言ってたな。レベルも大分上がったろうし、ブラックスライムの中でもかなり強い方なんじゃないか?」


「そう、なんですか……? ぼく、テイマーなのに……何も分からなくて……」


 そういえば、今どれぐらいなんだろう。

 ちょっと聞いてみようかな。


『かがみよかがみよかがみさーん、ボクの強さはどれぐらーい?』


『もちろん! 世界で一番愛らしいのはニイムさんですっ♪』


 白雪姫ネタわかるんかーい!

 んでもって、強さ関係無いんかーい!


『冗談はさておき! リーリオ、ボクのレベル教えて~』


『一番愛らしいというのは冗談ではありませんが……コホン。ニイムさんのレベルは今、19ですね。ブラックスライムだと20が上限ですから、もうすぐ進化も可能になりますよ』


『ホント?! やったぁ、今度こそ強いのになりたーい!』


 ――ぽいん、ぽいーん!


「ニイム、どうしたの……?」


『えっとね、ボクそろそろ進化できるかもって!』


「えっ、ニイム、ブラックスライムじゃなくなるの……?」


「なにぃ?!」


 フェリの声を聞いて、シーロが立ち上がる。


「せっかく便利なモンが仲間になったってぇのに、もう使えなくなんのかよ!」


『いや、ブラックスライムじゃなくなるってだけで、スキルの次元収納はそのまま使える……よね、リーリオ?』


『ええ、使えるでしょう』


『だよね、良かったー』


 普通のスライムの時にゲットした『吸収』もずっと使えてるし、収納だって同じだよね。


「ニイムは進化しても、使える……って、言ってます」


「……ンだよ、焦らせんなよ」


 シーロは「最初っから言えよー」って顔しながら、座り直した。

 早とちりしたのはシーロだよ!


 それを見てたクリスが会話に混ざってきた。


「俺、ブラックスライム以外のスライムが異次元収納を使えるなんて、聞いたことないんだけど……ホントに使えるのか?」

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