5.ストーカーとスライム

『そうだ、スライム相手になら勝てるかも!』


『なるほど! 良いアイディアですね!』


『知能では普通のスライムに勝ってるわけだし、いけそうな気がする! ……あ、でも同族殺しって良くないのかな……』


 そもそも天使相手に投げる話題じゃなかったかな、とリーリオの表情をチラ見してみる。


『野生の生き物なら当然のことですから、気にすることはありませんよ!』


 ……あ、大丈夫みたいですね。

 めっちゃいい笑顔ですね。


 ってかリーリオさん、天使の仮面ががれるのが早くないですかね~?

 ガイド役っぽく穏やかに話してくれてた時は、ちょっと天使っぽかったのに……。

 あ、でもよくよく考えたら最初っからかぶれてなかったか。

 出だしがね、あれだったしね。

 天使っぽい穏やかな時間は一瞬だったね。


『まぁ確かに、野生動物でも縄張り争いとかボスの座を巡って~とか普通にあるもんね。何かと人の倫理観を持ち込みそうになるボクが変なんだよね……』


『それが貴方の良いところでもありますから』


『んー、そう言われたら悪い気はしないね。 ありがと!』


『でもいくら相手がスライムといっても、今の貴方にとっては“同格”ですからね。戦う時は十分注意してくださいね!』


『は~い』


 なんたって力は互角。違いは知能と知識の差だけ。

 返り討ちに合ってもおかしくない相手だからね。

 しっかりと逃げ道を確認しつつ、一対一タイマンで戦えるような状況にもっていくとしよう。


『とりあえず戦ってみて、無理そうだったら逃げるよ。この体にも慣れてきて、足は速くなってきた気がするからさ』


『はい。くれぐれも無理はされないように……』


『うん、じゃあまたねー』


『はい、ではまた』


 ぷつん、とウィンドウが消えた。


 そういえば、呼びかけた時の応答がやたらと早かったよなぁ。

 ホントにいつでも・・・・見守ってたりして……?

 えっ……ちょっと怖い……。


 ……いやいや、相手は天使だからね?!

 天はいつでも下々の者を見守ってるもんだよ!

 うん、決してストーカーなんかじゃないよ! たぶん!

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