6.レベルアップスライム

 むーん……このっ! えいやっ! こいつぅ!


 ――ぽいん、ぽよよんぽよん、ぽいんぽいんっ


 ぽいんぽよんと可愛らしい音が鳴っているが、ボクは今、真剣勝負の真っ最中である。

 手頃なスライムを見つけ、攻撃をしかけてみたのだ。

 攻撃手段は……体当たりとのしかかり。

 そう、体をぶつけるしか手段が無いんだ……。

 あぁ、悲しきかなスライム。


 ――ぼるるんっ


 あ、やった! 相手が弾けた! 勝ったんだ!


 >ちゃーらっちゃちゃー♪

 >スライム は スライム にかった!

 >スライム は けいけんちを 1 てにいれた!


 うん、どっちもスライムですね。

 そういえばまだ名前考えてなかったなぁ。

 名前って、いざ考えると困るよね……。


 とりあえず、スライム狩りながら考えよっと。


 こうしてボクは、スライムだけを狙いつつダンジョンを歩き回るのだった。




 ***




 ふう~。結構倒したなぁ。

 スライムって、数だけは多いんだよね。

 しかも他のモンスターがいない場所に一匹でいることが多いから、戦いやすかった。

 最弱だもんね……他のモンスターがいたら潰されちゃうかもだもんね……。

 しかもスライム同士が集まったら集まったで、ボクみたいに他の個体を倒すスライムとかも出てくるんだろうな。

 うむ、ボクの作戦勝ちである!!



 こうして順調に20匹ぐらいのスライムを倒し終えた頃――。


 およ……なんか体がポカポカする……。

 もしかしてレベルアップ?

 スライムとはいえ、結構倒したもんな。

 やったやった、いえーい! ちょっぴり強いスライムになったぞー!


 ――あ。


 < に の ―― >


 今……ほんの少しだけ思い出した。たぶん、誰かがボクを呼ぶ声だ。

 「に」……「に」なんとかって言った?

 相手の顔は……思い出せないや。

 うーん、ボクの名前が「に」で始まる(たぶん)ってことしか分かんないなぁ。


 でも何で今思い出したんだろう? レベルアップのせい、かな?

 リーリオが強くなると良いって言ってたのは、生き延びるためだけじゃなくて、このことも含めた助言だったのかな。


 んー……よし!

 もっとレベルを上げよう!

 どのみち、スライムが何かしようってんなら強くならなくっちゃね!


 だってダンジョンの外に出てみ? そっこーで人間とかに潰されちゃうよ?

 むしろダンジョン内でも危ないよ? スライムより弱いモンスターいる?


 というわけで、どんどんスライム狩ってこー! おー!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る