2.名無しのスライム
『すみません、理由はお教えできません』
え、えぇー!!
めっちゃ親切そうに登場しておきながら、教えてくれないの?!
あんなに思わせぶりなこと言っといて?!
『ボクすっごく困ってるのに! いじわる! オニ! あくま!』
『ぅぐっ……!!』
あ……泣かせちゃった……。
わ、悪いことしたかな。
『私も……お教えしたいのは山々なのですが……制約があってですね……ううっ』
『そ、そうなんですか。いじわるとか言ってごめんなさい……』
『いえ、いいんです。貴方は事情も分からないのですから、理不尽だと怒るのも当然ですよね……』
ありゃ、ホントは良い人っぽいな……。
情緒不安定なヤンデル美形かな~とか思ってたけど訂正しておこう。
『じゃあ、あなたはどうしてボクの前に?』
『先程尋ねられた
『そうなんです。気がついたらスライムになってて……。ボク、元からスライムってわけじゃないですよね?』
『はい、そうです。ですが今は元の生を忘れ、スライムとして生きていかなければいけません』
や、やっぱりそうなのか……。
スライムになったこと自体は良いとしても、「強くなって勇者を倒せ!」とか言われたらイヤだなぁ。
絶対経験値にされちゃうもん。
『生き方に制限はありません。たくさん子を作るも良し、一人で世界を回るのも良し。貴方の好きに生きてください』
な~んだ、よかった!
『出来れば強くなることをお勧めします。そして生き延びてください』
『死なないことが目標?』
『目標ということではありませんが……私の個人的なお願いです。貴方の苦しむ姿はあまり見たくないので……。それに、スライムはとても弱く死にやすい生き物ですから』
『そっかぁ……心配してくれてありがとうございます』
――ぷにょりん
ペコリとお辞儀を……したつもりだったけど、体が上下に揺れただけだった。
『くぅ、かわッ……!』
ちょっと変な呟きが聞こえた気がしたけど、ここはスルーしておこう。
『……コホン。私に丁寧に話す必要はありませんよ。気楽にしてくださいね』
『えっと、そうなの? じゃあ、あなたの名前とか、ボクとの関係? とかも聞きたいんだけど……聞いてもいいのかな?』
『私の名前はリーリオ。
えっ、天使?!
やたら美形な人だなーとは思ってたけど、この人(?)天使だったのかぁ。
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