第2133話 色で合わせろ!
雪はいつ降るんだと思っていたら、令和ちゃんはいきなりまとめてお支払いしてきました。一括で雪を振り込んで来ました。令和ちゃん、分割って言葉知らない?
そんなこんなで、マジで一晩で景色が変わりまして。えっ、イリュージョン? これがプリンセス
(※いまは少し溶けました)
つまらんシャレは置いときまして。
とにもかくにもびっくりするほどのドカ雪です。早朝から除雪車も稼働。除雪車が稼働したということは、家の前にそのかいた雪がこんもり積もっているということ。除雪車はあくまでも道路の除雪をするものですから、通過後は脇に雪が溜まるのです。住宅街なら、その『脇』というのは各家の前なのです。
というわけで、除雪車が動くと、その家の『動ける大人』はいつもより早く起きて家の前の雪をかかなくてはなりません。じゃないと車が出せないからです。車はもちろんですけど、人が歩くのだって一苦労。
じゃあ宇部家の『動ける大人』って誰?
旦那です。
私は朝ご飯を作るのでね。
噂によると、ご飯も作るし、家族がそれを食べている間に雪かきもするスーパーお母さんもいるらしいのですが、すみません、宇部さんはスーパーお母さんではないのでね。
で、我が家の誇るスーパーゼウスじゃなかった、スーパーハズバンドは、斜向かいのおばあちゃんから頼まれて、そっちの雪かきもお手伝いしています。ここに住み始めて最初の年にお願いされ、快諾し、それをずっと続けています。ご近所付き合い大事だからね。
で、そのおばあちゃん、お礼としてあれこれ何か差し入れしてくれます。現金の時もあるし、現物支給の時もある。私は特にその辺のことに関与していません。金を寄越せとか、もっと良いもの寄越せとか、そんなことは言いません。旦那が善意で引き受けたやつなので。
それで、たまにそのお礼の中に入っているのが、ワイン。
宇部夫妻は別に毎晩グラスを傾ける系のシャレオツドランカーではありません。確かに旦那は毎晩お酒を飲んでいますが、内訳はビール(発泡酒)と酎ハイですし、週に2回ほど私が参戦する際も酎ハイです。ワインの余地はありません。
なぜって、単純に量が多くて飲みきれないのと、あと度数が高すぎて私がベロンベロンになるからです。
ですが、ベロンベロンになるだけで、二日酔いにはなりません。なるほどの量を飲んでいないからかもしれません。すぐ酔って、すぐ寝て、朝もすっきり起きられるタイプ。なので、別にワインを飲んでも全然問題はないのですが、そのベロンベロン化のスピードが早いものですから、ちょっと寂しいというかね。
でもせっかくあるわけだし、なんか良い感じのおつまみとか用意してゆっくり飲めば良いのでは? ということになり、次の晩酌デーは白ワインをいただくことになりました。
問題はその『良い感じのおつまみ』です。ワインなんてボジョレーヌーヴォーの解禁日に「流行りに乗ろうぜ!」ってことで赤いのを飲むくらいの我々です。飲むとしても赤なのです。
なのに、白!
しかもなんかちょっと高そう!
宇部さんは知っています。
赤は肉料理、白は魚料理だと。
そして私が苦手なジャンル、それが魚料理です。最近はちょいちょい出してますけど、ほぼほぼ「ただ焼いただけ」です!
宇部「白ワインのおつまみって、やっぱり魚介系なのかな?」
旦那「ちょっと調べてみようか」
いつもの添い寝トークです。
せっかく良さげな白ワインですし、その辺もちょっとこだわりたいじゃないですか。やれる範囲で(重要)。
検索完了した旦那からの返答です。
旦那「どうやら『色』で合わせれば良いらしい」
宇部「色? どういうこと?」
旦那「なんかね、ホタテや白身魚などの魚介類や、エリンギなどのきのこ類、それから肉なら鶏肉って」
宇部「ことごとく白いな! 食材が! えっ、何? なんかそういう特殊な用語とかじゃなくて、マジで『色』なの?!」
旦那「そうらしいよ。それで、例えばコンビニとかスーパーで手軽に用意出来るスナック系でいうと、うすしおのポテチとか」
宇部「パッケージは赤いけどチップスは確かに白い!」
旦那「それからトマトプリッツ」
宇部「白い!」
成る程、そういうことなのね。素人はそういうところで選んだら良いわけね。
そうして迎えたXデーです。
旦那は意気揚々とカルビーのポテトチップス(うすしお)を用意して来ました。完璧です。そして――、
旦那「松清子が寝た後の、俺の第二部用にこれも買って来た」
海老満月――――!
完璧です!
白いおせんべいに練り込まれた魚介! 白ワインのために作られたような(そんなわけない)おせんべいです。
結局、うすしおが本当に合っていたのかはわかりません。というかむしろ『合わない』という状態を知らないのです。ただ、ワインもうすしおも大変美味しかったです。そして、海老満月もとても美味しかったそうです。馬鹿舌の夫婦なのでね、もうそんな感想しかねぇのよ。
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