第2116話 連絡はしてくれ

 そういや病院絡みでもう一つネタがあるのです。ご安心ください、こちらももう解決済み。


 それは金曜日のことです。

 金曜日といえば、娘は部活があり、息子は学童に行く日です。

 私は16時まで、旦那は17時まで仕事です。


 いつもの流れとしては、私が仕事帰りにスーパーへ寄り、買い物をして帰宅。ご飯仕度と洗濯物を取り込んで畳み、家族の帰りを待つ、という感じです。皆が帰宅するのが18時近く。


 その日の献立はピーマンの肉詰めでした。

 宇部家のピーマンの肉詰めは麺つゆで煮込むタイプで、カテゴリ的には和食です。だって麺つゆで煮込んでるから。だったのですが、数ヶ月前、厚めの輪切りにしたピーマンにひき肉を詰め、マヨネーズと焼き肉のたれでからめるという、一口サイズの肉詰めレシピを発見し、試しに作ってみたところ、これがもう好評で好評で。それまでピーマンの肉詰めといえばピーマンを縦半分に切るものだと思っていましたから、革命でしたね。食べやすさが段違い。そして、調理の面倒くささも段違いです。面倒とか言うなよ。


 いやマジで面倒なのです。

 コレ、家族が「また食べたい!」って言うから頑張れるやつだな、って。自分一人だったら絶対作らんやつだぞ、って思いながら輪切りのピーマンからちまちまと種を取る作業をしていた時のことです(つまりこの作業が一番面倒くさい)。


 おかしいなとは思っていたのです。

 ソファに息子のランドセルがあるな、って。

 つまり息子はいま学童にいないのです。

 天気もぐずついておりましたから、きっと旦那の仕事が早く終わって、先に息子だけ回収したんだろう。そういうこともよくあります。だから、まぁおかしいなとは思いましたが、そういうこともあるよな、と思って調理していた時のことです。


 お姑さんから電話が来ました。

 おっ、何だ何だと作業を中断して出てみると――。


義母「松清さん、息子君は大丈夫だか?」

宇部「は? え? 何の話ですか?」

義母「なんかK先生から電話来て(両親が仕事中の連絡先は義母)、息子君が体育の授業でケガをしたって」

宇部「ええ――っ!!??」

義母「お父さん(親方)が『良夫は早上がりして息子君を病院に連れて行った』って言ってたんだけど、どこの病院かわからなくて。良夫から連絡来てない?」

宇部「来てないです、LINEも電話も!」


 来ていないのです。

 念のため、一度通話を切って確認しましたが、やはり来ていません。


 またしばらくして義母から電話が来ました。


義母「どうだった? 来てた?」

宇部「いえ、来てません」

義母「松清さん、いまから迎えに行くから!」

宇部「えっ、私をですか?」


 来てどうするの? どこに行くの? あっ、もしかしてどこの病院かわかったんですか?! そう尋ねますと。


義母「わからないけど、○○総合病院か、××総合病院だと思うから! しらみつぶしに!」


 市内の総合病院をしらみつぶしに――!?


宇部「いやいやいやいや!」


 どんな怪我かわかりませんけど、必ずしも総合病院に行くとは限りません。個人の整形外科もあります。ですが、普段怪我とは無縁の孫の一大事と義母は大パニックです。私はというと、義母があまりにもアワアワしているので、逆に冷静に。


宇部「お義母さん、落ち着いてください。とりあえず良夫さんからの連絡を待ちましょう」

義母「そうね……」


 っていう話をしている間にですね、電話の向こうから「ただいまー」って息子の声が聞こえて来たんですよ。


義母「あっ、息子君と良夫が帰って来た。ちょっと一旦切るわね」

宇部「わかりました」


 とにもかくにも無事に帰宅したので一安心です。息子の声もめっちゃ普通というか、何なら元気いっぱいでした。おい、怪我してんじゃねぇのかい。


 で、しばらくして娘も一緒に帰って来たわけですけど。


 息子の怪我は大したことはなく、体育の授業で側転の練習をしたら、左手の親指の付け根の靱帯が少し伸びた(?)だかなんだかで、既に腫れも引いておりました。それでも大事を取って取り外し可能なギプスのようなものを装着していました。それをつけて包帯で固定する感じ。お風呂の際には外してOKと。


 なぜ私に連絡が来なかったのかについてですが。


旦那「ごめん! ずーっと息子君がYouTube見てた! 待ち時間長かったから」

宇部「なら仕方ないか。でもちゃんと連絡してね、お義母さんから聞いてびっくりしたからさ」


 どうやら総合病院ではなく、個人の整形外科に行ってたようで、その日はたまたまめちゃくちゃ混んでいたようで、その時はまだ痛みも強かったものですから、そんな中待たせるのが可哀想だったのでスマホを貸していたそうです。YouTubeで痛みを忘れられるならそれに越したことはありません。まぁ、一本連絡くらいしてくれやとは思いましたが。

 

 で、一週間その状態で過ごして、もうすっかり良くなりました。

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