第2110話 勇者にしか抜けぬ剣

 オシゴトサーガスの話でワーワーしておりましたら、何と奥さん、この話が投稿されるのって、11月29日らしいんですよ。


 おい、始まるぞ、祭りが!

 今年は今日から始まるぞ!

 12:00スタートだ! コンテストに応募する作品は、レ点を入れるのを忘れるな! それから、ジャンルも要チェックだぞ!


 というわけで、私の作品もこの数時間後に始まります。ちょっとでも興味を持っていただけましたら、お立ち寄りください。そして出来れば3日はお付き合いいただきたい。つまり、3話までは読んでいただきたい! 


 とまぁ宣伝は一旦これくらいにしておきまして、本日のお話に参りましょうか。


 それはいい夫婦の日の夜のことです。

 せっかくボジョレーヌーボーも解禁されたことだしと、小さめのボトルを買い、良い感じのチーズなんかも用意して、キャッキャと晩酌をしておりましたら、旦那が「そういえば今日、母美さん(仮名)がさ」と話し出したのです。


「ちょっと! 今日はいい夫婦の日なのに、どうしてお義母さんの話を出すの?!」


 なんて言う私ではありません。


「えっ、なになに? 母美さんどうしたの?」


 もう前のめりで聞くから。何せお義母さんの話は外れがないのです。大抵が強めの面白エピソード。こんなのもう期待しかない。大好き。


旦那「それがさ、○○(店名)で、〇グループの商品が売られてたらしくて」

宇部「既に面白いんだけど、どういうこと? 夢〇ループの商品が何で○○(店名)に?!」

旦那「それはわからないんだけど。それで、母美さんが」

宇部「待って。買ったの?! 夢グ〇ープの商品を? 何? 何を買ったの? 夢炊飯器? それとも夢DVDプレーヤー?!」


 もうワクワクが止まりません。

 止まりませんが、と同時に「あんな『THE・安かろう悪かろう』を買っちまってどうするんだ」と心配にもなります。


旦那「大丈夫、そんな高いやつじゃなくて、クリーナーなんだけど」

宇部「クリーナーって、も、もしかして掃除機?!」


 例え「社長~、安くして~」からの「10000円にしまーす!」パターンだったとしても、高い買い物です。


旦那「いや、掃除機じゃなくて、なんていうかさ、あの、ハンディモップなんだけど、専用ケースがついてて」

宇部「ああはいはい」

旦那「で、こう、使った後にその専用ケースに入れて、使う時にまたザっと引き抜くと、ケースの中でブラシがこすれてきれいになる、っていう」

宇部「あーはいはい、わかるわかる。ウチの店にもそういうのあるよ。一時流行ったなぁ。成る程、それを買ったのね。おいくら?」

旦那「1000円だって」

宇部「まぁ、1000円ならね。多少あれでもね、うん」


 百均なら高額商品ですが、出せない額ではありません。まぁそれくらいなら、と思っておりますと、旦那が「いや、それがさぁ」と笑いをこらえながら続きを話します。どうやらここからが本番のよう。盛り上がって参りました。


旦那「やっぱりそれ、とんでもなくてさ」

宇部「どうしたの?」

旦那「抜けないの。ケースから」

宇部「は? どういうこと?」

旦那「母美さんの力では抜けないの」

宇部「えっ?!」

旦那「俺じゃないと抜けない」

宇部「勇者の剣かよ」


 マジで抜けなかったのだそうです。

 何かの間違いか? ってくらいに抜けなかったそうです。


宇部「でもさ、お義父さんは? 父夫さん(仮名)なら抜けるんじゃないの?」


 義父の父夫さんは御年74ですが、第一線を退きつつあるとはいえ、いまもバリバリ働いております。数年前にステージ3のガンが見つかって年は越せないかもしれない、なんてしんみりしていたのが嘘のようにまた再びムキムキしている不死鳥です。その辺の74歳とはわけが違うのです。ていうか大抵のものは男性の力でどうにかなるのでは?


 ですが。


旦那「駄目だった」

宇部「嘘でしょ?!」

旦那「あの父夫さんでも駄目だった。やはりあれだけのガタイをもってしても74には無理だった」

宇部「そんな!」

旦那「ていうか、俺ですらフルパワーでなんとか、ってレベルだった」

宇部「良夫さんで何とかなら、もうこの家でそれを抜けるの良夫さんだけだよ!」


 勇者ヨシオ誕生の瞬間でした。

 勇者にしか抜けぬ剣。それは夢グル〇プのクリーナー!


旦那「とりあえずさ、毎回俺が出張って抜くわけにもいかないから、返品することになったんだけど」

宇部「そうだね。それだけのために実家行ってらんないもんね」

旦那「まさかの返品不可」

宇部「おい! 噓だろ!」

旦那「だけど母美さんも引かないから。まずちょっと、お前らこれ抜いてみろ、って店員さんに渡して」

宇部「良夫さん(現役肉体労働者)でギリギリなら、たぶん店員さんには無理だよ」

旦那「マジで無理だったみたいでさ。これはもうどう考えても不良品だからってことで、返金してもらって来たらしい」

宇部「良かった……」


 というわけで今回もね、さすが母美さん持ってんな、っていう内容でしたね

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