第2087話 もう会えない

 朝っぱらから「そんな情報いらねぇよ!」って皆さんがシャウトしそうになるお話で申し訳ないんですけど、宇部さんは一日の中で下着を三枚、靴下を二足履き替えます。


 どうなってんの?

 そんなにきれい好きなの?

 あるいはそんなに汚す人なの?

 下着はもうそれ、漏らしてるとかそんな話?

 宇部さんの下半身事情大丈夫? 衰え大丈夫?

 まだそれはわかるけど、靴下は何で? そんなに臭い?


 色々気になるかもでしょうが、まぁ聞いてください。


 下着は単純に、寝る時は締め付け感がないゆるゆるのやつを履きたいだけですし、日中は下着の線が出ないタイプのやつを履きたいだけですし、夕飯後すぐにストレッチをすると汗でべしょべしょになるので、そんな汗まみれの下着で寝たくないからです。ね? 蓋を開けてみれば案外まっとうな理由で履き替えてるんですよ。これはまっとうですよね?


 汗で湿った下着は当たり前ですけど冷えるじゃないですか。まぁ、すぐ乾く素材ではありますけど、それでも尻を冷やすのって良くないって聞いたんですよ。ほら、尻って、肉が多いでしょう? 『肉』って濁しましたけど、脂肪が多いでしょう? 頑張って大殿筋を鍛えている宇部さんですけど、ベースは女の身体なんでね。ベースも何も女なんですけど。なのでやっぱり尻は脂肪が多いんですよ。


 で、脂肪って、冷えるとなかなか温まらないって聞いたんですよ。で、その冷えた脂肪が身体を冷やし続ける、みたいな。身体を冷やすのは良くないでしょ、って。で、お尻は脂肪が多い部位だから、そこを温めると良いのよ、みたいな。


 千里の道も一歩から。

 ほかほかライフはお尻から。

 

 そんなキャッチフレーズはないんですけども、でも確かにヒエッヒエのお尻よりは温かい方が良さそうじゃないですか。Bも出そうだし。

 

 という理由でですね、運動して汗をかいたらすぐに下着を替えるようにしているわけです。


 じゃあ靴下は?

 

 これはもう全然シンプルな理由です。

 寝る時はモコモコ靴下ってだけ。モコモコ靴下では働けませんから。


 さて、そんな導入で何の話かってことなんですけど、今日は旦那の靴下の話。旦那の靴下の話だけではちょっとネタが薄いなってことで、アラフォーおばさんが一日に下着を三枚も交換してまっせ、っていう、そんな話をしたわけです。どういうことだよ。


 旦那の靴下の話って言われたら、「ハハーン、さては旦那さんの靴下が臭いとか、そういう話ね? 宇部さんったら、あんなに旦那さんのことスキスキ言っといて、ネタがなくなるや靴下が臭いとかここで書いちゃうのね、最低!」、そう思われたかもしれませんが違います。旦那の靴下は臭くな……いかはわかりません。直嗅ぎとかしませんのでわかりません。さすがにそこまでの勇気はありませんて。


 いや、旦那もですね、日に二足履き替えるんですよ。

 

 えっ何この夫婦。

 妻はパンツを三枚、靴下を二足履き替えて、夫も二足履き替えて、何やってんの。そう思われたかもしれません。ちなみに旦那は寝る時は裸足ですから、二足の内の一足はモコモコ靴下ではありません。仕事用の靴下と、それ以外の靴下です。仕事用は夏でもふくらはぎくらいまでの長さのやつを履くのですが、仕事が終わったら服を着替えますので、そのついでにくるぶし丈の靴下に履き替えるのです。


 で、その脱いだ仕事用靴下と仕事着を持ち帰って、洗濯機にinするわけなのですが、ここ数日、その靴下が片っぽしかないという事件が勃発しておりまして。まぁ、なんてことはありません。実家(仕事場)に忘れてきているか、車の中に落ちているかです。


 その日も、旦那の靴下が片方ありませんでした。お洗濯を干している時に、足りないことに気が付いたのです。やたらとパンツパンツパンツ、靴下靴下で本日も満員御礼のピンチハンガーに、相棒のいない靴下がいたのです。


旦那「あー、きっと車の中に落ちてるわ」


 いつものようにそう軽く流してですよ。

 その翌日のこと。


旦那「あっ、ほら、やっぱりあった」


 その日、私も車に乗る用事がありまして、その際、後部座席に落ちている靴下の片割れを発見したわけです。良かったね。これで明日には揃うね、なんて笑っておりましたら。


旦那「あっ、穴あいてる! 駄目だこれ、捨てないと」


 あいていたのです。

 お役御免のサインです。

 

 昨夜、あんなに楽しく『かたっぽちゃんとかたっぽちゃん』という靴下ソングを歌っていたのに、そして、この数秒前も「ようやく会えね!」と歌詞をもじってキャッキャしていたのに。


旦那「いまごろ、今日会えるんだ、ってタンスの中でソワソワしてただろうに……。かたっぽちゃんとかたっぽちゃん、もう会えないね……」

宇部「やめて! 短調で歌わないで! 泣きそう!」


 もうこの年になると片方の靴下にも哀愁を感じてしまうのよ。ちなみに旦那の仕事用靴下は全部似たような色と丈なので、相棒を失った靴下もスペアとして活躍しています。もう見分けがつかんし。

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