第1940話 知ってんだ?!
宇部さんはね、意外と料理は好きです。好きってだけで決してうまいとか、レパートリーが鬼のようにあるとか、そういうことではないんですけど、まぁまぁそこそこのものを作れると思ってます。ただ海産が絡むのは弱いですね。アクアパッツァとか。マリネとか? たぶんこれ海産系のやつですよね? 私がどうにか出来る魚介系の料理なんて、焼き魚とか、シジミの味噌汁とかそんなレベルだから。
ですが、とりあえず、家族が好きな物を作れるので、家族の中では「お母さんはお料理上手」と思われています。いいか、お前ら全員騙されてるからな。
もう子ども達も大人と同じもの食べられますからね(極端に辛いもの以外)、夕飯のリクエストを聞くこともあります。聞くタイミングとしては、お風呂ですね。お風呂で翌日の夕飯は何が良いかと聞くのです。だってほら、お風呂ってことはもうその日の夕飯は出来てますから。ここからはもうどうにもならないから。
で、娘に聞いたらですね、「うーん、ここ最近はさっぱり系が多かったから、がっつり系かな? でもにいににも聞いてみないと」とか言うわけです。お前、なんかいっちょ前なこと言うようになったな。
もちろん娘だけのリクエストで作るわけにはいきませんので、息子にも聞くつもりでいましたとも。
すると、「がっつり系! お肉!」と返って来たわけです。そうね、やはり子どもってお肉好きよね。よっしゃ、がっつり系な。お母さんに
というわけで、夜のうちにですね、冷凍庫をチェックです。がっつり系にすると言ったものの、この段階ではノープランですから。冷凍庫にどんな
見つけました。
やはりありました、鶏肉です。
さぁ、気になる部位は――?!
やりました!
もも肉です!
がっつり系にふさわしい部位です!
やるぜ俺は! この日のために常日頃ヘルシーメニュー出してんだ!(言うほどヘルシーでもない)
もも肉があるなら、これはもう照り焼きだろうと思いました。
いや、がっつりだっつってんなら唐揚げだろ、って思われたかもしれません。ですが、宇部さんは揚げ物が苦手。いや、食べるのは大好きです。揚げるのが怖いのです。だって油跳ねるじゃん。
さて、翌朝です。
冷蔵庫に移動させた鶏ももちゃんはまだ完全に解凍されてませんでしたが大丈夫。これを食べやすいように一口大に切るのです。むしろ半解凍くらいの方が切りやすいし。子ども達も照り焼きは大好きです。きっと喜んでくれるだろうと、解凍具合をチェックするべく取り出した鶏ももをその場にいた息子に見せつつ、言いました。
宇部「息子君、今日はこれを使ってがっつりしたやつ作るからね」
息子「やったー! 唐揚げだー!」
宇部「エッ!? 違っ、違うよ!? 唐揚げじゃないよ!」
息子「違うの?」
えっ、何、お前『鶏もも=唐揚げ』って知ってんだ?! いや、鶏むねでも出来るけどさ。でもあのジューシーなのはもも肉だもんな、やっぱり! いや、優秀すぎん?! 知ってんだ?! 恥ずかしながらお母さんは大人になってから鶏むねと鶏ももの違いを知ったよ?!
まぁ正直ですね、鶏ももなんて唐揚げくらいでしか使わないんですよ。なので、息子は覚えていたんでしょうね。
「鶏もも肉ということは、唐揚げだ!」と。
ですが、宇部家では唐揚げはお父さんが揚げるものと決まっているのです! ごめんな息子! お母さんはビビリだから揚げ物無理なんだ! 今度揚げてもらおうな!
意外と目ざとい娘の方ならまだしも、普段ぽやーっとしてる息子がこんなことを言うとはと、めちゃくちゃびっくりしましたね。意外と子どもは見てるんだな、って。
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