第1928話 最高の夜
幸せの形は人それぞれ。
そう思いませんか、皆さん。
そんな怪しい宗教の勧誘みたいな感じで始まりました、今回のエッセイ。どうも、教祖の宇部です。何の教祖だよ。
いや、つくづく思うわけですよ。
幸せの形は人それぞれだよな、って。同じこと書いてんじゃねぇぞ(露骨な字数稼ぎ)。
先日ね、先日っていうか、もうかなり最近の話なんですけど、ほら、カクヨムコンの最終が出たじゃないですか。ノートの方でもね、わやわやと書いたんですけど。いやほんとおめでたい。自分もね、祝われる側になりたかったっていうのはもちろんあるんですけど、それでもやっぱり発表前の『とらたぬ(捕らぬ狸の皮算用)』時でもですよ、常に頭の中にあるのは、
「いやでもこれ、まかり間違って受賞なんてしてみろ。私、あの店長に執筆活動をカミングアウトして、さらには旦那にもカミングアウトするんだぞ? 耐えられるか?!」
でしたからね。
受賞したい気持ちはある。おおいにある。けれども、受賞したらしたであれこれ面倒なことがあるのです。一応ウチの職場は、副業もある程度はOKで(こっちの仕事に支障がなければ、とかだったかな)、不動産収入のある社員さんなんかも確かいたはず。だからきっと印税あたりもOKのはずなんですよ。
それに旦那へのカミングアウトですよ。
もうね、シミュレーションとかしたからね? 無駄に! その辺も含めての『とらたぬ』だから! 顔から火が出るかと思いましたよ。カミングアウトしても絶対にペンネームは伏せるだろうし、結婚生活を継続させたければ絶対に検索するなよ、って言うだろうな、って。これがアニメ化や実写化まで話が進んだらさすがに隠し切れないとは思いますけども。でもほんとギリギリまでそこは隠すつもりでいましたからね。そこまでしっかり『とらたぬ』したから。
でもそう考えたら、祭りに乗っかってワイワイして、お友達が増えたりして、ワー楽しーい! ってやってるのが一番平和なのかな、なんて自分の中で折り合いをつけてですよ。よっしゃ、今日は遅番だぞ、20時まで頑張るぞ、なんて思いながらカクヨムコン最終発表のページを見ていたらですね、旦那からLINEが来て、その日の夜ご飯が餃子になったわけです。
餃子なんてアナタ。
私の大好物だから。
私の一番好きな食べ物だから、餃子は。
そして、私の遅番DAYに高確率で登場するスペシャルメニューでもあります。高確率で登場するならスペシャルでも何でもないのよ。
いや、用意する方としては楽なんですよ。
何せホットプレートを用意して冷凍餃子を並べるだけ。
それだけのことで妻がもう髪を振り乱して喜ぶんですから。
そこへアナタ、アイスなんて用意してごらんなさいな。
妻、もう感涙に咽ぶからね。
ただまぁ、用意は楽とか書いちゃいましたけど、ウチのホットプレート、なんかごっついんですよ。実父に買ってもらったやつで、なんか馬鹿でかいんですよ。だから割と出すのは大変だし、洗うのも仕舞うのも大変なんですけど、でもまぁ、野菜切ったり炒めたりするのに比べたらね? みたいな。そういう感じの『楽』なんですけど。
とにもかくにもですよ。
もう優勝が確定した状態で仕事に行ってですよ。
なんかもうどっぷりと疲れてですよ。
疲れたところにアッツアツの餃子がね! ホットプレートの上でジュウジュウいっててね! ヒューッ! 最高! 逝ったァ! 上顎火傷したァ――! っつって大騒ぎしながら一人一パック(冷凍の王将餃子or味の素の冷凍餃子)食べるわけですよ。大人ですからね、当然一人一パックですよ。当たり前でしょう? 何のための大人よ。
そんで、ハァー、火傷したからこいつぁアイスですわな、っつって、キンキンに冷えたやつを食べてですよ。
もうね、最高! って叫んだよね。
もう今日何? 最高の夜すぎない? って。
で、ふと冷静になるわけですよ。
私の最高の夜、安すぎないか。
アラフォー女性の考える最高の夜にしては底が浅すぎないか。
一生懸命考えたんですよ。
もし私が『港区女子』だったら、って。アラフォーで女子とか言ってんじゃねぇよとも思ったんですけど、一旦正気を失ってですね、そこはちょっと見ないふりして考えたんですよ。
そしたらね、たぶん私タワマン的なところで何か得体のしれない素材を使った横文字の料理食ってんだろうな、って。髪もきれいにセットして、爪もピカピカで、お化粧だって下地からハイライトから何から何まで完璧なんだろうな、って。そんでなんか、シャルルドゴール空港みたいな名前のワインとか飲んでるんだろうな、て。
でもやっぱり全然惹かれなくてね。
風呂上がりで頭にタオル巻いた状態で、テッカテカのすっぴんで、口から肉汁たらしながら餃子食べる方が良いな、と思った次第でございました。
やっぱりね、幸せの形って人それぞれだからね。
そんなお話で5月、終了でございます!
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