第1927話 いまのところは大丈夫

 もうすっかり春ですね。


 ふざけんな、お前いま何月だと思ってんだクソが。そう思われた方もいるかもしれません。


 何だ? いまのいままでコールドスリープでもしてたんか? この能天気アラフォーおばさんは。そう思われた方もいるかもしれません。


 落ち着いてください。カルシウム足りてますか? 怒らない怒らない。


 こういう書き出しの時は大抵、内容がカスの時です。そろそろ私のこと学ぼう? これは字数稼ぎですよ。


 まぁ対して稼げなくて「萎えー」ではあるんですが、まぁ聞いてください。


 宇部さんは別にコールドスリープしていなかったんですけど、まぁそこそこ身近に冬眠コールドスリープしてたやつらがいるわけです。


 熊です。


 目覚めてきたのです、彼らが。

 眠れる獅子がね。いや熊だっつってんだろ。


 覚えておりますでしょうか、昨年の秋〜冬を。

 なんかもう秋田県、やたらと熊が出たのです。

 お山に食料がねえっつって、人里に降りてきちゃっていたのです。我が市の方にももちろん出ました。といっても、うんと山の方なので、住宅街にも出没したとはいっても、『街』? みたいなところではあるんですけど。


 それでも、川に流され(?)て結構な中心地にやって来たりもして、病院(しかも総合病院)の風除室で立てこもり事件を起こしたりもしました。秋田県ともなれば、強盗が銀行やコンビニに立てこもるとかじゃないのです。熊が病院に立てこもるのです。どうなってんの。


 やはり元道民としましては、熊ネタっつったら北海道だべさ(突然の北海道弁)! と思わなくもないのですが、もう全然秋田県の方が出ているのです。北海道よりも狭いくせに、めっちゃ出てるのです。秋田弁で言うと『しったげ出でらで!』といったところでしょうか。


 こうなるといよいよ、北海道の鉄板ネタ「人よりも熊が多い」も使えなくなるな、なんて不謹慎なことを考えつつ、家族を送り出す際には、車に気をつけて、熊に気をつけて、熊に会ったら絶対に背中を向けるな、走って逃げるなと伝えましたが、果たしてそれも効果あるやら。とりあえず、荷物は捨てろ、取られても取り返すな。子熊を見つけたら、母熊も近くにいると思え。可愛いと思っても近付くな。


 が、冬が来て、熊の出没情報もぱたっとなくなり、おお奴さん、やっと冬眠したか、なんて安心してたんですけど、春が来たのでね。


 眠れる熊が目を覚ましましたよね。


 それでもなんとなく、「去年のアレはなんかイレギュラーなやつだったに違いない。今年の春は去年とは違うだろう」なんて思ってたんですよ。春になればまた木の実やら山菜やらが育ってて、それで何とかやりくりしてくれるだろうって。


 甘かった。


 味占めたのかな?

 人里の方がなんか食いもんあるぞ、って。


 まーた出没情報がチラチラ出てます。

 しかも恐ろしいことにですね、人の味を覚えた熊がいるっぽいのです。実際に人を食べた熊なのか、それとも、仲間から「人間って狩るの簡単だし、味も悪くない」みたいな情報を得たのかはわかりませんが、積極的に『人』を狩る熊がいるらしいのです。


 えっ。


 映画の話じゃなくて!?


 映画ならね?

 映画なら全然アリな展開。

 ここからベテラン猟師(腕は確かだけど偏屈過ぎて普段はなんか近所の人達から煙たがられてたりする爺さん)との壮絶なバトルが始まる展開ならアリ。そういう映画なら全然アリ。


 違うのです。これは現実リアル


 ただまぁ、安心してください。

 それはまだ宇部さんの住む市からは離れております。遠い遠いところのお話です。


 といっても油断出来ませんからね。熊自体はウチの市でも山の近くで目撃されてますから。熊ネットワークがどうなってるのかわかりませんが、いまのところは大丈夫です。


 という報告でした。


 もし今後、「ついに出た」、「九死に一生」、「殺るか殺られるか」、「デッド・オア・アライブ」、「仕留めた」みたいなタイトルの日があったら察してください。

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