第1918話 そん時だけ縮むの?
宇部さんは、年に二回、スリッパを買い替えます。春夏用と、秋冬用です。
いまはなんか洗濯機で洗えるとかありますけど、なんかもう面倒くさいので、履き潰して、某ファッションセンターで安くて可愛いのを買うのです。
スリッパって、まぁまぁ当たり前ですけど、サイズ展開が少ないじゃないですか。だいたいもう、
それでですね、宇部さんの足は小さいのです。靴は22.5cmです。これで足全体が華奢な感じなら「よっ、シンデレラ!」って合いの手が入りそうなやつなんですけど(確かシンデレラって足がめっちゃ小さかったって聞いた気がする)、大きさの割に幅は広いし甲も高いので、22.5だときつい場合もあります。細めのパンプスとかはだいたい厳しい。かといって、23にするとカッパカパっていうね。
だったらもういっそスニーカーよ。
でもそのスニーカーも、私が欲しいデザインに限ってサイズがねぇ。売り切れとかじゃなく、そもそも作られてねぇと来たもんだ。
とまぁ、そんな難儀な靴事情なんですけど、もうスリッパはほら、家の中ですし、そもそもあいつパカパカするやつだし、ってことで、その半ばフリーサイズ的扱いのレディース用を履いていたわけです。
ですが、足に馴染むまではまぁまぁ危険で、馴染んでからも靴下との相性が悪いと階段が危険。上る時とか日常的にシンデレラになるからね。そうそう、シンデレラってあれ、階段を下りてる時に脱げてますよね? ドレスのスカートを摘んでタタタタタって下りてる時に。
アレ普通に危なくないです?
ノー手すりで下りてる時に靴脱げるって相当危なくないです? やったことはないのであくまでもイメージですけど、前の方につんのめるんじゃないかなって。それとも前方に蹴り飛ばしてるってこと? 割れない? 上る時はね、わかるんですよ。私よくやるから。あー、はいはい、合わない靴なら脱げるわな、って。いや、合わない靴だったんか? そのガラスの靴が足にぴったりだからそれで探すって話じゃなかったか? ちょっと走っただけで脱げるような靴ならそれは合ってなくない? 紐でも解けた? いや、スニーカーじゃねぇわ!
ガラスの靴の話は良いです。
とにかくスリッパは危険なのです。脱げやすい。だけど、所詮は某ファッションセンターの商品です。可愛いのはたくさんあるけど、サイズはないのです。
でもなんか、ちょっとだけ期待してしまうのです。もしかして、探せばあるんじゃない? と。
というのもですね、値札のタグを見れば、フリーサイズ表記ではなく、『23.5〜25cm(だったかな)』みたいな感じなのです。ということは、その下の『21〜23cm』みたいなのがあるのでは? と。そう思いません?
と、思っていたら、あったんですよ!
『21〜23cm(だったかな)』みたいなやつがあったのです!
何だよ、あるんじゃん、しまむら! ありがとう、しまむら! もうしまむらって書いちゃったけど!
そんな気持ちで手に取りました。ええ、やはりなんかかなり小さく見えます。そうよ、私が求めていたのはこれ。
でもなんか、ちょっと気になるのです。
なんか……とにかく黒系でシックなやつしかない。
まぁ、別に色は何でもねぇ。別にねぇ。
そう思っておりましたが、気づきました。
これ、なんかフォーマルがどうとかって書いてる。
いや、別にフォーマルしか駄目ってことはないんだろうけど。フォーマル向きに作られてる。しかも持ち運びに便利な巾着付きだ。成る程! これなら参観日にも持っていけるね!
いや、フォーマルになると女性の足って縮むんか?
なぜこのラインはこのサイズがあるんだ?
もしかして、黒ストッキング履けば足がキュってなって小さくなるとでも? そりゃ靴下よりは薄いわけだし少しくらいは小さくなるかもだけど、サイズが変わるほどかと言われるとなぁ。
それから、なんか『ヒール付きのスリッパ』みたいな感じのやつでもこの大きさのやつがあったんですよ。この『21〜23cm』みたいなやつ。何よ、あるんじゃん!
でも、何でヒールの要素入れた?
なぜ普通のスリッパでこのサイズを作らない?
何だ?
足が小せぇなら背も低いだろ? ヒールが欲しいだろ、ってことか?
偏見だ!
私の身長は約157cm。
大人になってちょっと縮みましたが、一番大きかった時で158です。女性の平均身長です。そりゃ身長はあるに越したことはないけど、別にいいよ、スリッパはさ! 家の中で履くやつだからさ!
まぁさんざん書きましたけど、買いました。これまでのブカブカのやつより快適ではあるのですが、スリッパにあるまじきフィット感で、なんかナースサンダル的なの履いてた事務職時代を思い出します。
そうか、いっそナースサンダル履けばよかったのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます