第1913話 はいしゃ

 さて、まさか書いてなかったとは思わなかったんですけど、こないだのGWのゴーカート事件(『第1908話 一応ライセンスはあるのよ?』)の時にサラッと書いた『就職の際に免許が必要だということで取得したにもかかわらず、ものの数ヶ月で営業車(しかも新車)を廃車にした』っていうのがですね、思いの外反響があって。


 アレっ!? 書いてなかったっけ!? って。


 たぶん私、営業時代に成績が悪くて秋田の支社に飛ばされたって話は何度も書いてるんですけど、そこに触れてなかったんですね。字数的な問題なのか、やはり私も自分の事故った話は書けなかったのか。


 まず、免許について。

 内定先で必要とされたから取っただけで、私自身は取るつもりがなかった、というのはどこかで書いた気がします。そんな経緯でしたから、教習中も本当に嫌で嫌で仕方なかったです。もう全然やれる気がしないのです。それでも渋々ハンドルを握りました。何月から通い始めたかはもう覚えていませんが、取得したのは11月の頭だった記憶。


 で、やっぱり、クランクでしたっけ、そういうのとか、縦列駐車とか、ほんと苦手でね。それでも一応真面目なのでね、親にお金も出してもらってますし、何が何でも一発で受からねばというプレッシャーに打ち勝ち、無事に一発合格です。


 ただ、校内のコースを走っている時に、なんかすんごい秋晴れの日があってですね、気持ちよくなっちゃって居眠り運転しかけたことがあるんですよね。


 教習中に居眠りする人間がこの先本当にハンドルなんて握って良いのか?


 そんなことも思いました。ガチで居眠り運転で事故る前に運転をやめといて本当に良かった。


 で、問題の営業車(しかも新車)廃車事件です。


 当時、新卒は全員営業からスタートなのですが、営業トークを覚え、先輩とのロールプレイで合格をもらった人から現地へゴーとなります。


 私は特に早くもなく、遅くもなく、といった感じで出動が決まったのですが、営業所的には少々困ったことが起こっておりました。


 営業車が足りないのです。


 ぶっちゃけこの会社、ブラックなので離職率が半端ないのです。なので、新卒はわんさかと採ります。どうせ半年もすれば半分以下になりますからね。というわけで、4月の社内は人で溢れています。大丈夫、毎日一人ずつ減っていきますから。


 なので、最初はとにかく車が足りないのです。


 基本的に営業車は軽です。アルトとか、ミラとか。役職者はジムニーでしたね。ですが、車が足りないということで、レンタカーのこともあります。それが普通車だったのです。運良く私はそれが当たりました。軽だったらもしかしたらもしかしてたかもしれませんので、運が良かったんでしょうね。


 さて、確か私が一人で現地デビューしたのは5月か6月だったと思います。その間に、函館出張もありましたから、実は高速も運転してるんだぜ。無事で良かった!


 ちなみに函館市内に入ってから、先輩と夕飯を買いに出かけたは良いものの、一方通行イッツーに入り込んで抜け出せず、迷子になるというハプニングもありました。でもここでは事故ってません。


 じゃあいつ事故ったの、って話になるじゃないですか。


 えっ、意外とちゃんと(?)仕事してるじゃないの宇部さん、って思われたかもしれません。


 違うんです。

 函館出張は現地デビューしてすぐに決まったやつなのです。

 なので、事故ったのは確か6月のことでした。

 

 時刻は夜の21時近く。

 いまはたぶんアウトじゃないかと思うんですけど、この当時は、これくらいの時間でもバンバン営業していたのです。


 その日ももちろん結果を出せなかった私は焦っていました。まぁ、タイムリミットである21時まで回ったところでここから景気よく3本取れるとか、そんな奇跡は起こりっこないので、さっさと諦めれば良かったのですが、時間キッチリまで回らなくてはならなかったのです。たぶん回らなくてもバレなかったんですけど、やるだけやったんです感を出したかったんでしょうね。いや、心のどこかで「もしかしたら奇跡が?」みたいな気持ちがあったのかもしれません。


 で、住宅街を走っていた時のことです。

 住宅街ですから、もちろん速度は落としておりましたけれども。

 

 それで――、まぁ、一時停止に気づかず、十字路へ、っていう。


 はい、人身です。車同士です。相手の方の運転が上手くて、なんかうまいことダメージを逃がす感じ(とその方が言ってた)にハンドルを切ったらしく、双方軽症でなんとか、という。


 人間の方は軽症だったんですけど、こっちの車はエアバッグも派手に開いて廃車に、ということでして。


 ええ、こんな感じでね。

 こんな感じのことがありましてね。

 で、その前にも2回ほどガードレール的なところにドアをこすっちゃったり、ぶつけて凹ませちゃったりもしたものですから、それがとどめになって、


「このまま行くとマジで人を殺しかねないし、自分も死ぬ」


 そう判断した次第でございます。

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