第1902話 貼り紙

 さて、人気投票の話も終わりましてですね、いや、厳密にはまだまだちょっと語りたい気持ちもあるんですけど、ちょっと日常編に戻らせていただこうと思いまして。ほら、作品を読んでない方もいるわけじゃないですか、このエッセイの読者様の中には。なのにずーっと投票結果の話ばっかりしてたら、なんかあの、常連客とばっかり話してて、新規客には適当な接客する個人経営のお店みたいになるじゃないですか。


「このエッセイがホームです」

 

 そんなあなたにお届けします。

 私は一体誰に語りかけているんだ。


 危うく正気に戻りかけましたが、はっきり言って、エッセイを書いてる時は多少トチ狂ってるくらいがちょうどいいと思っています。


 というわけで、とある朝、宇部家に起こった話をします。


 ここでも何度か書いていますが、宇部家で一番早起きなのは子ども達です。息子と娘、果たしてどっちが早いのかはわかりません。たぶん半々なんじゃないかな? と思います。


 それでですよ。

 5:45くらいですかね、私がぼんやりと起きて来て、とたとたと階段を下り、トイレに行こうと思ったその時です。


 トイレのドアに何か貼られているのです。

 眼鏡は台所の調理台に置いているので、裸眼の状態です。それでもさすがに貼り紙の存在には気づきます。ただ、廊下は薄暗い上、鉛筆で書かれているために、なんて書いてあるのか少々読みづらいのは事実。とりあえず、娘の字ということはわかりました。ところどころ漢字を間違えているのと、やたらと字が大きいからです。


 娘からのメッセージとわかった瞬間に、いやな予感が身体中を駆け巡りました。


 もしかして、トイレ内を派手に汚した!?

 

 彼女はそれ系の前科があるのです。

 といってももちろん幼児時代ですが。

 息子はというと、おむつが取れるの自体は結構遅めだったのですが、取れてからはほぼ失敗無し。おねしょしたこともほぼありません。が、娘はちょいちょいやらかすのです。


 だからもしかして?!

 と思いました。


 お前! 小三にもなって!


 そうは思うものの、まだこうやって貼り紙をしてくれるだけでも成長したかな……? って騙されるところでしたが、だとしたら、これを書くより我々を起こせよ!


 そんなことを思いつつ、紙に書かれた文字を一生懸命読みます。『ちゅうい!(注意)』から始まるその内容とは――、


(意訳)

・トイレの中に虫がいます

・虫が苦手な人は気をつけてください

・特にママ(つまり私)

・平気な人はティッシュで取ってください


 粗相じゃなかった! 疑ってごめん、娘! 


 ていうか、虫?! 虫?! えぇ?!


 ご丁寧にも、その虫のイラストまで。あの、あれね、足がたくさんある系のやつでしたね。羽がないタイプね。これはこれで恐怖。


 とりあえず、二階のトイレで用を足し、すぐさま旦那にヘルプ要請です。緊急事態! 緊急事態! 虫発生! 虫発生! 


 が、どうやら虫の野郎は既に逃走しており、見つけることは出来ませんでした。こうなると逆に怖いのよ。どこに潜んでいるのかしら。


 とりあえずいまはですね、虫の恐怖でワーワーしてるうちに撤去されてしまっていた貼り紙を写真に収めておけば良かったと後悔しています。


 娘よ。

 次回からは貼り紙じゃなくて、ぜひともパパを起こしてくれ。早期発見早期駆除が大切なんだ。


 子どもの日にこんなネタを投下するとはな。

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