第1856話 まだまだ出て来る

 ちょっと本日はですね、少々シモの要素が強いので、その辺の話題が苦手な方はご遠慮ください。明日はもっと爽やかな話題でお会いしたいですね。爽やかな話題って何?


 旦那のね、話なんですけども。

 日曜の朝のことですね。日曜は私だけが仕事なんですけども、旦那の仕事や子ども達の学校がない分、いつもよりゆっくり出来るのです。しかも、朝食はパンと決まっています。まだ夜は冷えますので、スープも作り置きです。パンは焼くだけだし、スープも温めるだけです。ギリギリまでお布団でだらだら出来るのです。


 旦那もゆるゆると覚醒しました。


 が、男性の方はまぁわかると思いますが、本体よりも先に(同時にかもしれないけど)シャキッと起きる部位がありますよね。ええ、それに関するお話なのです。


 旦那が少々むにゃむにゃしつつ、「トイレに行きたい」と言い出しました。「漏らす前に行きな」と返しますと、「いまはちょっと無理」と。


 これは女性にはわからないやつです。

 出したいなら(もちろんトイレで)出せよ。ついそう思ってしまうのですが、どうやら一筋縄ではいかないことがあるようで。


 出せないわけではないけど、ちょっとホースが上向きでね、と。


 学校とか公園の水飲み場を思い出していただきたいんですけど、ほら、あの、吐水口が上向きになってるやつね。あれは水を飲む目的だからあの向きでOKなわけです。しかし今回は、『出す』のが目的であるわけで。


 だかから吐水口が下向きになるまでしばし待たなくてはならないのだと、私は旦那からそのように聞いております。まぁ確かに大惨事になるわな、と。


 が、その日、旦那はこうも言ったのです。


旦那「まぁ、どうしてもって場合には、最終手段があるんだけど」


 なんですと!?

 私は興味津々です。

 

 もちろんこれはマイハズバンドだけが出来る裏技かもしれませんので、安易に真似しないように。


宇部「最終手段って、どんな感じ? 強制的に萎えさせるとか、そういう技があるの?!」


 もしかしたら、何かの参考になるかもしれません。いや、なるわけないか。とにもかくにも気になったので聞いてみました。


旦那「マイケルジャクソンみたいな感じで放尿する」

宇部「!!!???」


 MJ! MJです!

 あのキング・オブ・ポップのMJです。

 MJのように放尿するってどういうこと?!


 私は一瞬にして、様々なMJを想像しました。私が見たことのあるMJというのは、もうほぼほぼミュージックビデオのやつです。スリラーとか、ビリージーンとか、バッドとか。そのどれを思い出しても、放尿と結びつくやつはありません。そこでふと浮かんだのは、股間に手をやって「ポゥッ!」と叫ぶMJの姿。


 もしかして、そんな感じで無理やり股間を押さえつけて、出す、とか……?

 

 さすがに「ポゥッ!」なんて声は聞こえませんでしたので、そこまではトレースしていない模様。朝の放尿の度にそんなことをやっていたら、大変です。子ども達にも悪影響でしょう。パパ、何やってんの?


宇部「ちなみに、どうやってやるの?」


 そんなことを聞いたところで女の私にはまったく活かせないやつなのですが、それでも好奇心は押さえきれません。


旦那「えーとね」


 むく、と布団から出て、実際にやってみてくれるようです。あっ、もちろんノー放尿で。


 彼は、身体を思いっきり前傾させて、ぴたりと止めました。


旦那「『スムース・クリミナル』方式」

宇部「えっ、そっち!? あの、股間を押さえて『ポゥッ!』じゃなくて?!」

旦那「違うよ。『スムース・クリミナル』だよ。こうやって身体をギリギリまで倒して、強制的に吐水口を下に向けるんだ」

宇部「嘘だろ!!!」


 わかりますか、『スムース・クリミナル』。あの、MJとダンサー達が、なんかもうとにかくギリギリまで前に倒れるやつです。あれです。まさかの『スムース・クリミナル』放尿スタイルだったのです。本家MJはどんなトリックを使っているのか、ノーハンドで前傾しますが、ウチのハズバンドは特殊な訓練を受けてはおりませんので、壁に手をついて行っているそう。つまり、壁ドンです。


 正直、朝から何やってんだ、という思いが拭えませんでした。

 ただまぁ、これは本当に危機的状況のみに繰り出される最終奥義らしいので、普段はちゃんと収まってから用を足しているそうです。


 まだまだウチのハズバンドには秘められた部分があるようです。一生飽きる気がしねぇ。面白いのまだまだ出て来る。

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