第1854話 ワックスかける

 というわけで、ワックスをかけたり拭き取ったりしてるうちに強くなる話、『ベスト・キッド』です(悪意のある紹介)。


 ざっくりあらすじを書きますと、母子家庭のダニエル君(ヒョロヒョロ)が、空手の達人ミヤギさんと出会って強くなって、いじめっ子に勝つ話です。ざっくりしすぎですが。まぁでも、こういうことです。


 で、もちろんそれだけではないんですけど。


 このダニエル君、お引越しして来てですね、それで、友達と行った海でマブいギャル(たぶんこの時代ならこの表現で良いはず)アリちゃんと出会い、いい感じになるのです。ですがこのアリちゃん、恐らくというか確実にカースト上位女子なのです。それに対してダニエル君はどこからどう見ても、二軍……いやもしかしたら三軍かもしれません。そんな男子です。で、その海で元カレ君とバチバチにやりあうのですが、その元カレ君、空手の道場に通ってて、喧嘩が強いのです。ダニエル君も多少かじっていたっぽいのですが、もう全然レベルが違うのです。


 それで元カレ君はそのアリちゃんに未練たらたらなものですから、そのアリちゃんと良い感じになったダニエル君にムカついて事あるごとにボコボコにしてしまうのです。で、それを見かねたアパートの管理人『ミヤギさん』が、「空手大会で決着をつけよう。だからそれまで彼に手を出すな」みたいな交渉をするわけですね。


 で、そこからミヤギさんとダニエル君、いやダニエルさんの特訓の日々が始まるわけです。ちなみに、なぜダニエルに言い直したかというと、ミヤギさんが彼のことをそう呼ぶからです。


 ですが、その特訓(?)というのが、ひたすら洗車作業だったり、ペンキ塗りだったりするのです。その洗車作業に出て来るのが、右手にワックス、左手にタオルを持って、右手でワックスをかけ、左手のタオルでそれを拭きとる、という動き。私が見たのはこのシーンのコントだったのです。


 当然ダニエルさんは納得出来ません。こんなことで勝てるわけがないと。ペンキ塗りにしても、なんかやたらと手首を使えとか、そういうアドバイスはしてくれるものの、それだけなのです。気付けばあんなにたくさんあった車はピカピカ、家の周りの柵もきれいに塗り直されましたが、肝心要の空手の特訓っぽいことはしていないのです。いや、最後の方にちょっとやりましたけど。あとなんか、杭の上に片足で立ち、鶴みたいなポーズで蹴りを放つやつもやってましたけど。


 ですが、なんやかんやで試合当日です。

 もうやるっきゃないのです。


 でもまぁうまく行くんだろうな、そう思って観ていました。ちなみにこの映画、2時間くらいあってですね、「体感的にあと30分くらいかな?」って何度も思っては裏切られました。


 そして、当然のように、なんかうまく行くのです。あの、ワックスかける/ワックス拭き取るの動きや、ペンキを縦に塗ったり横に塗ったりする時の手首の動きでどうにかなったのです。


 とはいえ。

 とはいえですよ。ここであっさり元カレにも勝ってしまったら面白くありません。当然ピンチになります。なんかもう折れたんじゃない? くらいの怪我を負います。結構追い詰められて大変です。


 ど、どうする?!

 どうなる?!


 と、ここでいきなり例の鶴のポーズです。

 

 急にどうしたの?!

 何か思い出すきっかけとかあった?

 正直そう思いました。


 ですがその鶴のキックが見事ヒット! 元カレ撃沈! ダニエルさんの勝利! 最後はミヤギさんのどや顔アップで終了!


 っていう。ラストの畳みかけが凄いのです。


 私としてはですね。前半~中盤の展開がやたら長すぎる上に後半の試合シーンがあっさり過ぎるというか、何ならダイジェストか? みたいな印象を受けたんですけど、でもこれ、Amazonの評価(ただしDVD)4.1とかなんですよ。めっちゃ名作だ、みたいに書かれててですね。いや、こう、少年の成長とかミヤギさんとの友情を描いた話ということで、良いお話だと思うんですけど、私としてはですね、色々と「これはどうなの?」と思う部分があるわけです。


・カースト上位女子がそもそもダニエルさんと良い感じになるか?

・デートシーンそこまでいらないと思う

・ダニエルさんの私服が正直ダサい

・どうしてもあの修行でどうにかなるとは思えない

・突然鶴のやつが出て来るのも謎、何か覚醒する際の演出(せめて特訓シーンがよぎるとか)が欲しかった


 特に、こう言っちゃなんですけど、カースト女子がダニエルさんみたいなひょろひょろ男子と恋に落ちるっていうのが信じられなくて。なんかこれは偏見なんですけど、向こうの国って、日本以上にその辺厳しいんじゃないかなって。


 とにもかくにもこちらが『ベスト・キッド』でした。次は2かな?(観るのかよ)

 この映画が好きな方、ごめんなさいね。

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