第1845話 娘のセンス

 そろそろ今年度も終了ということで、娘がこの1年の絵画作品を持って帰って来たわけです。


 このエッセイでも度々書いておりますが、我が家の子ども達はとってもアーティスティック。まぁ、アーティスティックと思い込んでるのは完全に親馬鹿的なアレなんですけど。親って大抵我が子のこととなると目が濁る生き物ですから。そういう仕様になってますから。老眼とかも関係ある? まだ老眼には早いと思ってるんですけど。


 とにもかくにも、新進気鋭のアーティスト、娘ちゃんの珠玉の作品がいま、我が家にあるのです。

 

 娘はもう得意気です。

 何せ我々はこの手の作品を手放しで褒めまくる親。こういう芸術分野って、正解不正解のある学力テストとは違いますんで、よほどふざけていなければ怒られるようなものでもありませんし、大抵は褒めちぎるものだとは思うんですけど。でもほら、あまり関心のない親御さんもおられるでしょうから。


 ただまぁ、我が家はもう、一枚一枚テーブルの上に置いて、この絵はどこが良いだとか、ここの色使いがどうだとか言いながら褒めちぎりますから。もう娘はニヤニヤしながらそれを見ています。果たしてこれが正しいのかはわかりません。保育園時代、あんまり褒めて調子に乗らせると良くない、という考えの親御さんがいたのを思い出します。あの時はそんなはずはない、と思っていましたが、Twitterだかネットニュースだかで「三食きっちり手作りし、もちろんおやつも手作りで丁寧な育て方をしたら、子どもが何でもやってもらって当たり前みたいな感じに育ってしまった」みたいなのを見かけたのです。言われてみれば、そうなる可能性もなきにしもあらずなんだよな、と。


 確かにちょっと褒めすぎた気はしています。とにかく娘に関しては自己肯定感が高すぎるような気がしないでもないのです。まぁ、私が低すぎるだけかもしれないし、自分に自信があるのは良いことだよなとも思うんですが。


 まぁ良いです。

 とにもかくにも娘画伯の作品なのです。


 ほぼほぼワニでした。

 授業で一体どんなテーマを提示されたのかわかりませんが、どう考えてもワニがテーマではないはずです。それなのに、ほぼすべての絵にワニがいました。テーマに沿ってさえいればワニを描いてもOKだったのでしょう。まさかテーマを無視してワニをゴリ押ししたわけじゃないよな? さすがにそれは先生に止められるだろうし、それでも強行したとなれば、連絡帳に書かれるだろうし。だからたぶん、なんとかかいくぐってワニを描いたのでしょう。ねぇ、何でそんなにワニが好きなの? 何かきっかけとかあったっけ?


 何かよくわからないけどワニが好きな娘ちゃんです。

 ママは娘の気を引くためにワニ柄の布を探していますが、なかなか良いのが見つかりません。バッグとかに使うワニ革ではありません。ワニそのものの柄です。めっちゃ探しています。


 さて、そんな娘ちゃんですが、やはり女の子だからでしょうか、パパとママがイチャイチャしてくると高確率でニヤニヤと絡んできます。息子はもう慣れたのか、興味がないのか何のリアクションもしないのに。


 ある朝などは、茶碗を洗っている旦那の背中に張り付いている私を見て、


「パパとママってさ、動物園の飼育員さんと、飼育員さんに『かまってかまって~』ってやってる動物みたいだよね」


 そんなことを言ってきました。


 例えが秀逸すぎる。

 わかる。

 ママもね、なんか見たことあるわ。


 ああいうのって、大抵の場合パンダですよね。中国とかの動物園で、パンダが飼育員さんにまとわりついてるんですよ。餌が欲しいのか、遊んでほしいのか知りませんけど。パンダ体型ではないと思いたいし、パンダほど可愛くはありませんけど、絵的には確かにそれです。


 娘よ、お前は人をよく見ているね。

 学校では話すなよ。

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