第1833話 結局お前は誰なんだ

 まーたパンチの効いたB級映画を観てやったぜ、と読者の皆様に謎マウントをキメるため、ノコノコとやって参りました。


 Amaz〇nレビュー、驚異の1.5!

 これはもう駄作の香りしかしねぇ!

 むしろ奇跡の数字だろこんなの!


 絶対に誰も観ないだろう(失礼)と思いつつ、もしかしたら私のこのエッセイによって「よっしゃ観るぜ!」と思っちゃう人もいるかもしれない、なんて思いつつ。ただまぁ、やはりツッコミどころの多い作品なものですから、こりゃあここで語るっきゃねぇぜ! という使命感に駆られて書いてます。


 というわけで、もう冒頭からわかっていたかとは思いますけど、今回は映画のレビュー回! もちろんホラーです!


 もう絶対にホラーなんか観たくないので、このエッセイで観た気になっときます! という方はこのままお付き合いください! 張り切っていこうぜ! ヒアウィーゴー!


 あっ、タイトル忘れてました。

 タイトルはですね『それ ~それがやって来たら…』

 

 もうね、業界は『それIt』の二番煎じ狙い過ぎなのよ。なんかそれっぽい匂わせタイトルつけときゃイケると思ってない? そんでもちろんピエロだしね?


 上映時間は驚きの62分。短期決戦です。さぞかしスッキリまとまったハイスピードホラーなのだろうと思ったのかもしれませんが、そんなことはありません。


 ざっくりあらすじをまとめますと、なんか謎のピエロがキャンプの子ども達を殺しまくる映画です。最近では子どもが亡くなる(というか殺される)映画って少なくなってる気がするのですが、そんなのお構いなしに殺されてしまいます。


 もう少し詳しく書くと、少年達は過去に同じキャンプ仲間(?)をいじめてて、その子は投身自殺をしております。そのシーンのカットが多い多い。やたらと出してきます。重要な意味を持つのでしょう。その際の視点は、いじめには加担こそしていなかったものの、助けもしなかったであろう少年です。


 そんで、そのキャンプの途中、森で謎の少女が倒れているのを発見。とりあえず保護します。


 そうこうしているうちに少年の一人がいなくなります。それを残り少年達とボランティアの女性が探しに行くのですが、手分けして探そうぜ! と少年の一人が提案します。森の中です。大型ショッピングセンターとはわけが違います。止せばいいのに、分かれて探すことになります。


 で、ピエロに見つかって、少年達は殺されます。スピーディーな展開です。ごく普通のナイフを所持したピエロなのですが、子ども達はびっくりするほどバラバラにカットされてしまいます。そのナイフの切れ味どうなってんの?


 で、なんやかんやあって、実はその謎の少女とピエロがグルだったことがわかります。少女は虐待によって命を落としており(だから実は幽霊だった)、まぁかいつまんで言えば、「自分は殺されたのに、あいつら楽しそうでむかつくからっちゃって」ってことでピエロに殺人を依頼していた、という。


 まぁそんなような話なんですけど。


 最後までわからないのは、


 結局、ピエロお前は誰なんだ、っていう。

 

 さんざん序盤に匂わせて来た、『いじめを苦に投身自殺した少年の父親(少年達に「殺してやる」とか言ってた)』でもなさそうなのです。むしろそのピエロのメイクを落としたら、その父親でしたー! っていう展開なら納得なんですよ。見ず知らずの少女と手を組んでるところの意味はちょっとわかりませんけど、利害の一致みたいな、そういうことで何とか。


 いやいや宇部さん、それは宇部さんにはわからなかっただけで(そしてあえて劇中でも明かさなかっただけで)、実際はその父親なんじゃない? って思われたかもしれません。


 確実に違う俳優さんなんですよ。

 実はその父親でした、って話にするならせめて俳優さんはそろえるでしょ。


 そんで、その少女はですね、死ぬ直前くらいにピエロに会ってて、殺しの依頼は実はそのギリギリ生きている時にしているんですね。で、少女を虐待してた父親(愛人だったかも)を早速殺しに行き、殺ったよ! とウッキウキで報告しに行ったら、少女は亡くなっていたわけです。


 それで、怒りに燃えたピエロは彼女の願いを聞き入れて――、っていう感じなんですけど。


 まず、そのピエロが突然すぎる(例えば少女が昔ピエロの人形を大切にしてたとか、そういうのもない)んですよ。ほんと家の中にいきなり現れて(不法侵入)、少女とさもさもズッ友でしたが? みたいな距離感なのです。


 本家『It』みたいな怪異の類なのか、ただの頭のおかしい人間なのか、全然わからないのです。そういう伝承や噂があるとか、そういうのすらなしに突然ピエロが出て来る謎の映画です。


 ただ、そのピエロを演じてらっしゃるのが、いしだ壱成さんで、よくこの役を受けたな、と彼のプロ意識の高さに驚きましたね。

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