第1552話 母の日報告
宇部家の母の日は数年前から毎年決まっています。
カレーです。バーモントカレーです!
ハウス食品さん! 聞こえてますか! バーモントカレーですよ!!
というのもですね、私が、「頼むから花はやめてくれ」派だからです。お花はその辺に咲いてるのとか、道の駅で売ってるやつとか、そういうのを愛でるだけで良いのです。誰かがお世話している、あるいは野生のやつを愛でるだけで良い。枯れたら悲しいし、捨てるのも嫌なので、本当に欲しくないのです。これは旦那にも独身時代から言ってました。私には絶対に花を贈らないでくれ、と。
それでですよ。
ここ数年はほら、娘がね、張り切ってて。お料理に憧れるお年頃というんですかね。それにプラス、彼女はとにかくサプライズとか好きなので。
ただ、カレーを作る、という部分だけはもう確定なので、これについてはもうサプライズも何もないわけです。ですが、娘としてはそれが不満だったのでしょう。母の日の前日のことです。お風呂から上がり、パパに身体を拭いてもらっている娘が、まぁまぁの声量で言いました。
娘「パパ、明日のママのカレーなんだけど、どうする?」
旦那「どうするって何?」
娘「どんなカレーにする?」
旦那「どんな? お肉の種類?」
娘「そうじゃなくて、名前よ、名前」
旦那「名前?」
娘「だってパパ、ママのことめちゃくちゃ好きでしょ? だから『パパはママのことめちゃくちゃ大好きカレー』にする?」
突然何が始まったんだ。
旦那「確かにママのことは好きだけど、それじゃパパばっかりになっちゃうんじゃない?」
娘「あっ、そっか! じゃ、『ママ、愛してるカレー』にしようか!」
さっきと変わらなくない?
娘「うーん、難しいなぁー! どうやって愛を込めようかなぁー!」
旦那「娘、声大きいよ。ママに全部聞こえてる」
ごめん、最初のやつから丸聞こえ。
ていうか、愛を込めるのってそんな難しいやつ? 念じれば良いんじゃないの? 何か物理的なやつ込めようとしてない?
とにもかくにも何かしらの『愛』を込めたカレーを作ってくれるそうで、ワクワクしながら迎えた翌日。私は仕事なので、普通に出勤。よそのママさんのためのお花の鉢にラッピングをしまくりました。頭の中では本日のカレーでいっぱいです。
で、仕事も無事に終わり、旦那が迎えに来てくれました。とりあえず夕飯は良いにしても、買い出しはあります。仲良くスーパーへ。
旦那「今日のカレーはね、色々サプライズがあるから」
宇部「もうバラしちゃうんだ」
旦那「俺からの方はもうバラしちゃうけど、あのね、今日のウィンナーはアルトバイエルンだから」
宇部「高いウインナーだ!」
宇部家のカレーは普通にお肉も入るんですけど、どういうわけかウィンナーも入ったりします。ひき肉カレーの時はウインナーも入ります。
宇部「すげー、高いウインナーすげー(いつもはトップバリュのやつ)」
旦那「ふふふ……俺のアルトバイエルンが火を噴くぜ……」
宇部「俺のアルトバイエルン……。それで? それ以外にもサプライズがあるの?」
旦那「ある。それはね、娘が張り切ってるから内緒。帰ってもなるべく冷蔵庫は開けないでね」
宇部「了解」
というわけで、果報は寝て待てとも言いますし、もう単純に『来客中(月一のアレ)』はとにかく眠いものですから、寝て待つことにしました。
で、起こされて、お風呂を済ませ、いざカレーです。
旦那が鍋を温めたりなんやかんやしておりますと、彼に呼ばれた娘がいそいそとキッチンに向かいます。
旦那「娘、気をつけてね。慎重にね」
娘「大丈夫大丈夫! えーっと、ここにハンバーグを」
ハンバーグ……?
旦那「むっ、娘! しーっ! 言っちゃってるから! サプライズ言ってる! 出ちゃってる!」
娘「あっ、『サプライズ』って言おうとして間違えちゃった!」
そんなことある?
娘、あまりにもサプライズを意識しすぎて、サプライズ失敗!
成る程、娘のサプライズはハンバーグでした、と。
もちろんそのやりとりも全然ひそひそ声じゃなかったので、丸聞こえです。えっ、これ聞こえないふり出来ないよ、さすがにさ!
そんなこんなでサプライズなのかなんなのかわからない感じではありましたが、子ども達が頑張ってお野菜を切ったりしてくれたカレーをいただきました。息子の影が薄いですけど、彼もちゃんとじゃがいもとニンジンを切ってました。
ハウス食品さん、いつでもオファーお待ちしています!
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