第1441話 確かにな!

 こないだね、旦那とテレビを見てたんですよ。ダーツの旅でしたね。所ジョージさんの番組のやつ。ゲストがお笑いコンビのアンタッチャブルさん達でね、ほら、あのザキヤマさんと柴田さんのコンビね。ちょっと色々あってピンの活動が多かったですけど、コンビも良いですね、彼らは。ザキヤマさんのボケに対する柴田さんのツッコミがね、阿吽の呼吸というかね。きっちり打ち合わせしたコントとか漫才とかじゃなくても、出来るもんなんだな、なんて感心したりして。


 それでですよ。


 そのアンタッチャブルのお二人がね、その土地をウロウロして、地元の方とお話したりするわけですよね。そういう番組なので。


 移動しながら色んな方々と触れ合ってですね、それで、何かケーキ屋さんだったかな? ちゃんと見てなかったので、お店の外観とか全然覚えてないんですけど、まぁとにかくそういうケーキ屋さん的なところに辿り着いたわけです。中にいたのは、そこで働いてらっしゃる女性と男性、それからまだヨチヨチくらいのお子さん。ご夫婦かな? ご夫婦で営んでるのね? お子さんも自由にウロウロしちゃうタイプのお店なのね?(そういうの好き) なんて思いながら微笑ましく見ておりましたらば、


「夫婦じゃないです」


 確か奥様らしき方がそうおっしゃって。


 パードゥン!?


 これはね、アンタッチャブルのお二人もびっくりですよ。こんなおもいっきり夫婦的な空気感出しといて夫婦じゃないとかある!? えっ?! ただの従業員!? じゃあそのお子さんはどういう?! もしかしてお子さんも全然無関係だったり!?


 と思ったらですね、お子さんはその女性のリアルお子さんで、男性は、その女性の旦那さんのお兄さんだったという。


 つまり、義兄と仕事をしてるんですよ、その奥さん。旦那さんは(たぶん)全然違う仕事してるんですよ。別の仕事してるとか言ってましたから。そのケーキの材料を運ぶとか、そっち系の仕事なんだったら、そう言いますよきっと。だからきっと、ほんとこのお店には関係ない別の仕事してるんだと思うんですよ。


「こりゃあ旦那さん、気が気じゃないのでは!?」


 もうね、私なんかは下衆いこと考えますから。義兄がね、密かに弟の嫁さんのことを気になってて――とか。そういうの考えちゃうから。発想が昼ドラ!

 たぶん、YouTubeの例の早口CMの影響もあるんじゃないでしょうか(YouTubeのせいにしちゃう)。


 まぁ、そんなことはないにしてもですよ。普通にやりづらくないのかな。まぁ、そんなことないから働いてるんでしょうけど。私なら嫌ですよ。まだこれがね? 旦那も同じ仕事してて、旦那も一緒にいるんならね? 義兄だろうが義弟だろうが全然いてくれても良いんですけど。ていうか、もしいま私が旦那の仕事手伝うってなったら、そういう感じになりますから(旦那は弟さんと一緒に仕事してる)。


 でもね、ふと思ったわけです。もし私がこの奥さんの立場だったら、良夫さんはどう思うんだろう、って。普段からこんなに好き好き可愛い言ってくる良夫さんです。さすがに焼きもち焼いたりとかするんじゃないのかしら?!


 あのですね、ウチの良夫さん、全然焼きもちとか焼いてくれないんですよ。まぁ、私が浮気なんてするわけない、出来るわけがないって知っているからこそなんでしょうけども、それにしたって、多少ね、そういうのがあってもいいと思うわけです。私だってね、良夫さんは浮気なんてしないと思ってますけど、それでもバリバリに焼きもち焼きますからね?! いつだったか『美知子さん(仮)』って人から電話かかって来て、「誰この『美知子さん(仮)』って!」って騒ぎ倒したりしましたから。


 ええ、面倒くさい女だという自覚はありますとも。

 だけど気になってしまったのでね? 確かめずにはいられないというか。


宇部「良夫さんさ、もし私がこの奥さんと同じ環境で働いてたらどうする? つまり、良次よしじさん(旦那の弟・仮名)と二人でなんかのお店をやるっていう」


 さぁどうだ!

 どう出る!?

 私が言ったように「俺も気が気じゃないかな」とか、そんな風に返してくれたりするかな?! むしろそのための振りだったと言っても過言ではありません。ここは嘘でもいいからそう言っとくべきところだぞ?!


 ちょっとだけ期待します。

 が。


旦那「お互い一言もしゃべらなそう」

宇部「た、確かに!」


 私は皆さんご存知の通り、人見知りのコミュ障です。旦那と結婚し、義弟である良次さん(年上)とも親戚になって12年です。けれど、私から世間話を振ったことは恐らく一回もありません。いまだに必要最低限しかしゃべれません。

 そして、良次さんの方も、私ほどではないにせよ、人見知りの気があります。旦那や、良次さんの奥さんを挟まずに二人だけで会話をしたことなんて、挨拶(おはようレベルのやつ)以外ではまずありません。


 もうね、その通りだな、って。ぐうの音も出ませんでしたね。

 

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