第1344話 生ハム原木のやつ

 ないです。


 生ハムの原木はウチにはないです。ご安心ください。

 そもそも、ハムなのに原木って何だ?! って思ってるくらいの人間ですから、私は。


 そうじゃなくてですね、なんかちょっと前にこの生ハム原木のツイートっていうのが話題になったんですよ。Twitterをしていない人でも、ネットニュースなんかで目にしたり、それを加工した(?)文章を見かけたことはあるのではないでしょうか(見たことなかったらすみません)。


 ちなみに、その有名な生ハム原木のツイートはこちらです。


『生ハム原木が家にあると、ちょっと嫌なことがあっても「まあ家に帰れば生ハム原木あるしな」ってなるし仕事でむかつく人に会っても「そんな口きいていいのか?私は自宅で生ハム原木とよろしくやってる身だぞ」ってなれる。戦闘力を求められる現代社会において生ハム原木と同棲することは有効』


 普通にコピペしちゃいましたけど。


 これのね、『生ハム』部分をね、自宅にある、『たぶん一般家庭にはあまりないようなお宝的なもの』に変えてツイートするのが一時流行ったっぽいんですよ。ラクレットチーズの固まりとか、ジャンプ30年分とか、歴代プリキュアのDVDとか。


 ただね、これはよくわかるんですよ。

 私もね、まぁ主に食べ物なんですけど、夕飯がから揚げ(しかも旦那が揚げてくれる)とか、ラーメン(もちろん旦那が作る)とかだったりすると、かなり無敵ですからね。休憩中にカップ焼きそばを作る人がいたって負けないですから。


 おっ、○○さん、今日は焼そばですか? まぁ、私はいまでこそおにぎりしか食べてませんけど、今日の夕飯は唐揚げなんですよ。わかります? しかも、旦那が揚げてくれるんです。主婦ならわかりますよね? 自分以外の人間が作った飯の美味さ。それがしかもから揚げだっつってんだから、もう優勝なんですよ。私の仕事は千切りキャベツ(もちろん買って来たやつ)を皿に盛るだけなんですよ。アッハッハ。


 もうね、これくらいのことを脳内で捲し立ててますから。いっそ口に出して言えよって思われたかもしれませんけど、あんまり旦那旦那言ったらね、何かもう旦那自慢のうざい人じゃないですか。職場の先輩方が皆旦那さん自慢する感じなら全然言うんですけど、そんなこともなくてですね。


 私の場合はね、これ以外にも、ピスタチオ関連のお菓子や、週に2回くらいある旦那との宅飲み、家族での外食に、もちろんデートなどを当てはめております。ほんとね、心の支えといいますかね、今日はこれがあるから無敵、みたいなのがあると良いですよね。


 そういうのが何もない時でも、私の場合は旦那と子ども達がいますからね。


 そんな口きいていいのか? 私は自宅でとんでもない天使と小悪魔、そして最愛の夫とよろしくやってる身だぞ? ってね、思いながら困ったお客様を捌いていますね。先日は「何をどうしても変性シリコンの上に油性塗料を塗りたいお客様」とバトってました。油性は駄目です、水性塗料にしてくださいって言っても聞かねぇ聞かねぇ。店員だけが知ってる裏技みたいなのがあると思ってるんでしょうね。ないです。天下のセメダインさんも駄目って言ってるから。


 ちなみに、これに限らずですけど、粘ればもっと良いアイディアを出してくれるし、倉庫から何か出て来る、と思っているお客様多すぎです。どうにかなりませんか、って言われても。どうにかなるんだったら、出し惜しみせずに全部出しますって。私の引き出しが少ないせいかもしれないけど、社員さん呼んでも同じこと言ってたからね? あと倉庫から一発逆転のお宝が出て来ることはないです。あるなら即出してます。倉庫はなるべく物を置きたくないの。


 こういう時にも「ま、家に帰れば旦那いるしな!」って思ってます。

 そんで、一連の出来事をワーってぶちまけるんですけど、私の説明が雑魚なので「??? なんか大変だったね!」って返されます。いや、それで全然良いんですけどね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る