第1322話 すごいところ

 今日はですね、私の最愛の夫のすごいところをご紹介したい。ちょうど今日、10月3日で『10とうさん』の日なんでね(そうなの?)。


 まぁ、私みたいなのと一緒に暮らせるだけでもそのすごさは十分伝わっていると思うし、並々ならぬ優しさであるとか、包容力辺りもすでに皆さんご存知かと思うので、何ていうのかな、もっとこう、行動面っていうか、そんなところのすごさをお伝えします。


 まずね、これ私ほんとすごいと思うのが、タバコをすっぱりやめたところですね。


 旦那はまぁそこそこ吸う人で、喫煙者がよく(?)言う、


「起きてまず一服、食後に一服、休憩で一服、寝る前に一服」


 みたいな、一日の行動の節目みたいなところで必ず吸うみたいな感じでした。当時は外回りなこともあり、一日中秋田県をブンブン走り回ってたりしたものですから、運転中もずっとスパスパ。

 

 私は生まれてこの方一度も吸ったことのない人間ですし、憧れたこともないものですから(ただ、創作世界では割と好き)、正直吸ってほしくはないものの、ただの恋人関係なのに好きで吸ってるものをこちらの都合でやめさせるのはなぁ、という考えもあり、特にやめろと言ったことはありませんでした。車で吸う時はそれでも少し控えてくれたかな。私、臭いで酔うタイプなので。


 ただ、わざと煙を吹きかけるなとか(そんなやついねぇか)、吸った直後は絶対にチューしないとか、そういうのはありましたね。


 だけれどもね、ある日突然やめたんです。


 やめざるを得なくなったんです。

 違います、妊娠とかじゃなくて。そのずっと前、結婚前なんですよ。


 お財布をね、落としたんです。旦那がね。

 後にお財布は戻ってきたんですが、中身が……。


 それでもまぁ多少はあったのかな、さすがに全財産ということはないものの、次のお給料が出るまで、毎日おにぎりを握って持たせたりしたわけです(運転しながら食べられるように)。そんな状況でタバコなんて買えませんて。お金を貸した記憶はないので、どうにかやりくりしたんでしょうね。


 で、


「せっかくだからこのままやめるわ。身体にも悪いし、松清子も嫌でしょ」って。


 それでやめたんですよ。

 私の記憶ではウチのパパン(一日二箱くらいあける人)なんかはやめるやめるっていっても結局やめられなくて、大きな病気を患ってもうほんとに死ぬぞって段階になってやっとやめられたくらいで、その他の親戚とか友人なんかも軒並みそんな感じでですね。


 タバコ=やめたくてもやめられないもの


 ってのが根強かったんですよ。


 ところがどっこい旦那はですね、禁断症状(?)的なものが出ることもなく、ほんとにすっぱりやめたんですよ。そんでこれ、何がびっくりって、旦那の家族皆そうなんですよ。皆って言ってもお義父さんと弟さんなんですけど、皆、「やめるわ」って言って、ほんとにやめちゃった。嘘でしょ、タバコをそんなすぐにやめられた人なんていままで会ったことなかったんだが!?


 そんなこんなで、それからもう何年だろ。少なくとも12年は確実に吸ってないです。すげぇ。


 ただまぁ、これだけじゃパンチが弱いので、もうひとエピソード。


 それは結婚後、そろそろ子どもがほしいよねって話になった頃でした。結婚の時点でアラサーでしたし、出来れば早めにほしいけど、こればかりは授かりものだしね、と。治療が必要とか、タイミングを揃えて――とかそこまでのことはしてなかったんですけど、旦那曰く、


「もし3年経っても出来なかったら治療も視野に入れてた」そうです。まじか。


 まぁ、そのうち出来るでしょ、とのんきに構えていたある日、私はこんな話を耳にします(ネットで見たとかかも)。


 コーラを飲むと精◯が死ぬ


 ここまで過激な表現だったかは覚えてないんですけど、とにかく良くないってことだったんですよ。なので、まぁ、話のネタ的な感じでね、軽いノリで言ったんですよ。「コーラって、精◯が死ぬんだって」って。


旦那「よし、俺もうコーラ飲まない!」


 そんでほんとに飲まなくなったんですよ。まぁ、私のいないところで飲んでもバレないやつだし、別に飲んでも良かったんですけど、私の前では本当に飲まなくなって。メロンソーダとファンタは飲んでたけど。


 そんで何やかんやで結婚2年とかかな、無事息子を身籠りまして。その後娘も、と。


 で、しばらくして旦那が言うわけです。


旦那「俺そろそろコーラ飲んでも良いのでは?」


 良いよ良いよ! もう飲みな! 飲み過ぎは良くないけどマックの時とか飲めば良いよ!


旦那「うわー、コーラってこんな味だったわー! はいはい、そうそうこれこれ! これがコーラだ!」


 これがコーラ断ちした人間の感想なんだな、って思いましたね。


 というわけで、やると決めたらとことんやる男、良夫さんでした。

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