第1277話 帰省準備そろそろ

 帰省。

 しかも、4泊5日ともなれば、相応の準備が必要です。

 さらに言えば北海道、やっべ忘れ物したからちょっと車飛ばして取りに帰るね、なんてことも出来ません。


 入念に準備をしなくてはなりません。


 これが私単独の帰省なのであれば、スーツケースをガラガラさせていくんですけども、子ども達×2です。スーツケースなんてガラガラしてる場合じゃありません。この手はスーツケースをガラガラするためにあるんじゃない。子ども達を守るためにあるのです。


 というわけで、段ボールに数日分のお着替えや私のお手入れ道具、手土産等々を入れて前日に届くように発送するわけです。


 子ども達も滞在中は暇でしょうし、お気に入りの本やおもちゃ、DVDなどを入れても良いよ、と声をかけました。特に本は重要です。折り紙は売ってても、折り紙の本は――特に息子のお眼鏡にかなうような本は売ってないかもですし、売ってたとしても高額(2000円くらいする)ですので、そういうのは送らないといけません。持ち運ぶにも重いし。


 で、あれやこれやをぎゅうぎゅうに詰めてク□ネコヤマトさんへGO! これでまぁ一安心です。あとはリュックの中にもしもの時のお着替えとタオル、折り畳み出来るジャンパーに、お菓子とゴミ袋。ハンカチティッシュは移動ポケットに入れてズボンに装着するとして、あとは何だ、そうそう、百均で調達したお絵描きセットも一人1つ持たせなくちゃ。私は私でメイク道具に充電器、それから子ども達の母子手帳セットと衛生品(マスク、消毒用アルコール、ウェットティッシュ)。


 鞄パンパンなんだが。


 移動で肩が死にますわ。

 だけどね、お母さん頑張るっきゃないのよ。これ全部必要なんだもの。


 まぁ、そのために日々鍛えているわけですから。

 きっとね、こんなのにへこたれない身体になってるはずなんですよ。そうだろう? 私の大殿筋(尻だけかよ)。


 それでですね、なんやかんやしてその夜ですよ。

 さー、そろそろ寝る時間だぞー、って。

 

 声かけすると、息子は必ずトイレに行きます。そして、居間に置いてあるお気に入りのぬいぐるみ(仮面ライダー龍騎、もうボロボロ)を持って、私と手を繋ぎ(まだ繋いでくれるの最高に可愛い)、そして二階に……という流れになるんですけど。


宇部「あれ? 息子、龍騎は?」


 息子がいつも寝室に持っていく龍騎ぬいぐるみがいないのです。


息子「え? 北海道の段ボールに入れたけど?」

宇部「えぇっ!? 龍騎を!? お前が毎晩一緒に寝てるやつを!? 大丈夫なの!? ちょ、良夫さん! 息子、龍騎段ボールに入れちゃったんだって!」

旦那「何!? 龍騎、北海道に前乗りさせたの!?」


 龍騎、前乗り(前日入り)です。

 ぬいぐるみが、一足先に北の大地に下り立って、主が迎えに来るのを待っているのです。


 なんかもうね、旦那の「前乗りさせたの?」の言葉がツボでね。なんかわからんけどツボで。ややしばらく笑ってましたね。


 そんでその翌日ですよ。

 そろそろ寝るぞ、ってなってですね。さすがにもう龍騎お気に入りは前乗りしていてここにいないことはわかってますから、特に話題にも出しません。ほら、思い出すと逆に寂しくなるかもなって。


 そしたらね、息子がポツリと言うわけです。


息子「龍騎は北海道に送り込んじゃったしなぁ……」


 送り込む!

 敵の幹部が怪人を派遣する時の言い方!


 東北の秋田支部から北海道へ! 仮面ライダー龍騎を送り込む!! 正義の味方のはずなんだけど、そこはかとない怪人感!


 そう思いません?

 私だけかな!?


 この話が投稿される頃には無事再会しているはずです。無事に感動の再会を果たしました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る