第1262話 伝わらない

 私がその名前を呼んだだけで、何を欲しているのかだいたい察しがついてしまう、ツーカーなマイハズバンド・良夫さんですが、それでも伝わらないことがあります。


 まぁ、大抵の場合、こちらの伝え方に問題があるんですけども。


 お遣いですよ。

 私もね、もうかなり胡坐をかいてますから。

 これくらいでも伝わるだろう、良夫さんなら、みたいな甘えがありますから。


 そんで実際どうにかなってきているものですから、さらに確信を持ってしまうわけですよね。やっぱりこれくらいの説明でも伝わるんだな、みたいな。


 というわけで、こちらをご覧ください。


フリーザーバッグ(ジップロックの嘘のやつ)のMとL

↑スライダーのやつは高くて枚数入ってないから、普通のジッパーのやつ

 

 これはですね、私が良夫さんに送ったLINEのメッセージです。

 これ以外にも色々とお遣いをお願いしてましてですね、それで、あっこれもだった、って思い出して、慌てて追加したんですよ。


 ただ、補足させていただきますと、LINEで送っただけじゃなくて、口頭でも伝えているんですよ。このLINEはあくまでもお買い物メモみたいな扱いなので。


宇部「あのね、安いやつで良いから。本物のジップロックは高いからね。あんな高級品じゃなくて良いので、嘘の、偽物のジップロックで良いから」


 私がなぜここまで必死に説明をしたかと言いますと、前回、やっぱりこんな感じで依頼して、まんまとジップロックを買ってこられたからです。その時は100均だったんですけど、まさか100均にジップロック(本物)が売ってるなんて思わなくてですね、油断してたんですよ。そんでもちろん100均ですから、普通にスーパーで売ってるやつよりもさらに枚数が少ないやつで。


 もうね、もったいなくて全然使えなくて。箱のまま大事にしまってですね、もう絶対に漏れたら困るやつとか、長く使うもの(子ども達のデザート入れ)にだけ使ったりしてね。やっぱり良いんですよ。チャックもぴったり閉められるし、ちゃんと開くし。安いやつは閉まるは閉まるんですけど、全然開かなくて、結局そのチャック部分をびろんびろんに伸ばしてやっと開く(そして二度と閉じられない)みたいな、そんな感じなんですよ。


 だけど、洗って使い回すわけでもないし、使い捨てなので、むしろそれで良いかなって思ってたわけです。


 さて、そんなこんなで彼はお遣いに出掛けました。

 もうオチは読めているかと思いますけど、良夫さんはですね、またしてもジップロックを買ってきてくれました。


 なーんでだ?


 皆さんも思ったでしょう?

 LINEでも書いてるんですよ。ジップロックの嘘のやつ、って。嘘のやつって何だよ、って後から思いましたけど、その後口頭でも伝えてますからね? 旦那も「わかった!」って言ってますから。


 じゃあ一体、なぜ?

 よりによってそれが全部売り切れてたとか?


宇部「ちょ、ジップロックじゃん! これThis isジップロックだよ良夫さん Ziploc,Yoshio-san!! 高いやつじゃん!」

旦那「うん、そうなんだけどさ。ほら、これ見て」


 ババーン、とこちらに見せてきたのはジップロックの箱です。そこには――、


旦那「フリーザーバッグって書いてたから」

宇部「た、確かに書いてるけど。いや、え? そうじゃなくてさ。えーっと、何か安いやつにも書いてたと思うんだけど、いや、フリーザーバッグとは書いてないのかな? えー、なんて言うんだ、アイツ」

旦那「大丈夫だよ、スライダーのやつじゃないから」

宇部「うーん、それはそうなんだけど」

旦那「LINEにスライダーのやつじゃなくてジッパーのやつって書いてたから、ジッパーのやつだから、大丈夫!」


 その大丈夫は何の大丈夫なの……?


 その後もう一回説明しました。

 とにかく私が求めているのはジップロック(本物)ではないこと。確かにスライダーではないものの、ジップロックは質は良いけど高いので、私みたいに再利用しない人はもう全然安いやつで良いこと、『フリーザーバッグ』というのは、商品名ではなく、冷凍庫でも使える的な意味で書いたことを。


 だけど、二度あることは三度あるとも言いますので、これ系のは旦那にお願いするのをやめようと思いました。ごめんな、説明の下手な嫁で。

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