第1252話 洗う・前編

 これね、もしかしたら「宇部さんってそんなだらしない人だったんですね、主婦失格です」って言われちゃうかもしれないやつなんですけど、まぁ私がだらしないのはいまに始まったことではありませんし、主婦は主婦ですけど、たぶん会社員で考えたらうだつの上がらない万年平社員レベルなんでね、もうそこはそういう私だと割り切っていただきたいんですが。


 洗濯槽を洗ったんですよ。


 ほら、最近売ってるじゃないですか、洗濯槽クリーナーみたいなやつ。


 ウチのお店にもですね、売ってるわけです。ただ、私の管轄ではないので、お客様に聞かれて売り場をご案内したことはあるくらいの距離感と言いますか。ただね、お客様ね、私の縄張り(資材館)で洗濯機を洗うやつを探すのはどうなのかしら。めちゃくちゃ熱心に探してましたけど、明らかに日用品売り場とは並べているもののテイストが違うと思うんですけど。どこ探してもないのよー、ってそりゃそうですよ、ここ工具売り場ですもん。その工具で解体して洗うつもりでした? それとも何? こちらの高圧洗浄機(ケルヒャー)でやるつもりでしたか?! ワイルド!


 何せ広いお店ですからね、お客様も意図せず迷い込んできちゃうんですよ。まだね、草刈り鎌を探すくらいならわかります。ありそうですもんね、資材館こっちにね。ですが残念、それは園芸コーナーなので逆側です。こっちにあるのは電動刈り払い機の方なんです!


 とまぁその辺の話は置いといて。


 そう。洗濯槽を洗ったわけです。そのクリーナー的なものを使って。


 こないだ三連休があったじゃないですか。その時に私の休みも重なったもので、午前中にちょこっとお出掛けをして、午後のまったりタイムにですね、いっちょやってみない? って旦那に提案したんですよ。かねてから興味はあったんです。やってみたいな、って。だけど、私一人でやったら、不測の事態が起こった時に対処出来ませんから。基本的に宇部さんは一人で何も出来ない情けない大人ですから。その辺が万年平社員主婦たる所以なんですよ。一向に出世の気配なし。


 それでですね、ウチの旦那って、基本的にNGのない人なものですから、二つ返事で「よっしゃやってみようぜ!」って。


 ウチの洗濯機君はですね、ここでもどこかで書いたような気がするんですけど、昔々私達が岩手県の盛岡支社に異動した際、ファミリー物件だったにも拘わらず、その当時使っていた『歌姫(洗濯が終わると曲が流れるタイプだったのでそう呼んでた)』がどうにもこうにも入らなかったということで泣く泣く買い替えたという経緯のやつなんですが、2013年製と書かれておりまして。だからといって2013年に買ったかどうかは定かではないんですけど、まぁだいたいその辺りと仮定してもですよ、10年間、洗ってないんですよ。ね、だらしのない主婦でしょう? だってね、洗濯槽を洗うなんて発想がなかったんですよ。だって、むしろ彼は毎日洗ってるんですよ? 毎日洗ってるのにどうして汚れるの? っていうね。


 そんなこんなで、とにかく洗濯槽を洗うことになりました。


 で、もりもりと書いていたらですね普通に2000字超えましたので、まさかの前後編に! これといって事件が起こったわけでもないんですけど、とにかく分けます。次回はドッキドキの洗濯槽クリーニング回です(もちろんドキドキしたのは私だけ)。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る