第1204話 完全に嘘だわ!
さて、先日は私の誕生日兼結婚記念日ということで、ちょっといいディナーをいただいてきました。といっても、おひとり様5500円(税込)とかのやつね。これが精一杯よ、庶民には。
それでですね、去年と同じお店だったんですけども、去年はお客さんが我々しかいなかったんですが、今年はもう一組お客さんがいて。男女のね。見たところ、夫婦とか恋人っぽくはなくて、むしろ、これからなんじゃないのかな、みたいな。ヒューッ!
お料理を楽しみつつ、いろんな話をしつつ、忘れずに写真を撮りつつも、何となく気になるのが、その隣の(といっても結構離れてるけど)男女ですよ。
宇部「何か初々しいよね(勝手に恋人未満と決めつけている」
旦那「そうだね」
宇部「我々にもそんな時代が――……あれ、あったっけ?」
旦那「……あれ?」
ないのです。
よくよく考えてみたら、宇部夫妻にはこの「まだ決定的に恋人にはなっていない状態で数回のデートをし、お互いのことを少しずつ知っていく」みたいなのがないのです。
いやまぁ、厳密にはあるんでしょうけども、少なくともこんな感じではなかったのです。こんな良い感じのお店でしっとりとディナーと会話を楽しんで~、なんてことはお付き合いの段階では一度もありませんでした。仕事帰りにご飯に行ったり(ただし後輩も一緒に)はしましたけど、なんて言うんでしょうかね、その時から既にこういう感じだったんですよね。ただまぁ、一応旦那は職場の先輩(ただし内勤と外勤で仕事内容は全く違う)だったので、敬語くらいは使ってたと思うんですけど。
とまぁそんな話から、『もし仮に我々がああいう段階を踏んでいたとして、こういうデートをしていたとしたら、どんな会話をするのか』みたいなトークテーマになったんですよね。やっぱりあれですかね、ある意味面接みたいなものですから、ここぞとばかりに色々聞き出すんですかね。年収とか……はまぁただのお付き合いとしたら突っ込みすぎですけど、デートするならアウトドア派かインドア派か、みたいなやつとか、趣味のこととか……?
それでですよ。
例えば私がこんな話をするような女だったら付き合ってなかったな、みたいなのってあるのかな、って思ってですね。例えば、仕事の愚痴しか話さないとか、人の悪口しか言わないとかね。そんなの基本的に誰も聞きたくないやつですけど。旦那には何かNGな話題ってあったのかな、って。
そしたら、
旦那「昔の彼氏の話とかは嫌だなぁ」
宇部「確かに。大丈夫、語るほどたくさんいないし、語るようなこともない」
旦那「あとは、何か、自慢話とか? しかもその、若干嘘っていうか、見栄を張って嘘ついちゃう感じっていうか」
宇部「成る程」
旦那「まだほんとっぽいやつなら『へぇ~』って聞くと思うんだけど、もうあからさまに嘘だと思ったら、聞きたくないよね。色々辛いし」
宇部「成る程。……実は私、紫綬褒章をもらったことがあるんだけど」
旦那「おっ、マジで? 詳しく聞かせて」
宇部「いやもうあからさまに嘘のやつじゃん。聞きたくないんじゃないの」
旦那「紫綬褒章なら聞きたいでしょ」
宇部「クッソ。……それじゃあ昔私がサグラダファミリアの建設に関わっていた時の話でもしようかな?」
旦那「マジか! 聞かせて!」
宇部「完全に嘘だわ!」
良いところで飯食ってても宇部夫妻は宇部夫妻ですよ。
ちなみに軽くアルコールが入ってからは、ずっとチャイルドプレイの話をしてましたね。あっ、もちろん声のボリュームは控えめでしたけど。飯時にホラーは止めろよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます