第1188話 いいパパ

 1188いいパパ、でしょう、これは。1188いい母ではないです、このエッセイ的には。


 というわけで、ウチの良いパパったらもう旦那しかいないのでね? 私のパパではもちろんないんですけど。


 そう、結婚して子どもが出来るとですよ、呼び方が『パパ(お父さん)』と『ママ(お母さん)』になったりするじゃないですか。漫画とか創作の中だと『あなた』『お前』なんてのもありますけど。


 ウチもね、子ども達の前だとパパとかママとか呼んだりしますが、それはあくまでも子ども達との会話の中でそう呼んでるだけであってですね、実際に呼びかける際には子ども達の前でも『良夫さん』ですね、そういや。


 さて、このエッセイではもう弥勒菩薩だの大天使だの色々書いてきましたけども、本当にね、もう何度も書きますけど、私にはもったいないくらいの人でね、どうしてこんな素敵な人が未婚だったのかな、って、いつも不思議に思うわけなんですが。


 先日ね、まーた宇部家にアリさんが大量発生しまして。


 大丈夫。

 もうあの時の私じゃないんですって。

 もうね、だいぶ強くなったから。

 多少腰が引けているけれども、ちゃんと戦えるから。長めに切ったガムテープをびろーんて垂らしてくっつけて取る、っていう技をレクチャーしてもらったから。スプレーもあるし、巣に持ち帰らせるタイプの殺虫剤アリの巣コ□リも用意してるから。


 ただね、とりあえず、報告だけはしておかないとと思ったわけです。私一人の力では駆除しきれないかもしれないし(かもしれないというか、確実に無理)。帰ってきた時にびっくりしちゃうでしょ。


 それでですよ。

 まぁちょっと試しにね、巣に持ち帰らせるタイプのアレ『アリの巣コ□リ』さんを置いてみたんですよね。


 ……怖い怖い。

 もう吸い込まれるように入ってくんだけど。

 ねぇ、君達、それ毒なんだよ? そんなあっさり騙されて良いの?!


 もうね、逆に心配になる。

 巣ごと殲滅しようとしてる側の人間なんだけど、何か心配になる。

 何それ。ヤバい薬でも入ってんの? あぁ、まぁヤバい薬は入ってるんだわ。ヤバい薬っていうか、ガチで毒は入ってるんだったわ。


 もうコ□リの中のビジュアルが完全に『蟲毒』なんですよね。まぁ違うんですけど。

 どうしてあれ、スケルトン仕様なのかしら。効果は信じるからさ。不透明にしてよ。


 そんなことを思いつつ、「ここはお前に任せた、アリの巣の」みたいな感じでね、ハガレン鋼の錬金術師のマスタング大佐みたいな感じで(わからない人はググッてくれよな!)その場を去ってトイレに行ったんですけど、お仕事中のはずの旦那がね、いっきなり帰って来て。


 お昼休みでもないのに、まさか帰ってくると思わないですから、『』の気持ちで籠城してたんですよ。


 ヤバい!

 いま私のPCってどうなってたっけ?!

 まさかカクヨムの編集画面じゃないよね?!


 その辺もかなりハラハラしたんですけど、大丈夫、ちょうど『13日の金曜日』を見ていたところでした。この妻、アリの駆除の傍ら、まーた『13日の金曜日』見てるんですよ。もう絵面がサイコパス。


 そんなことより!


 いそいそとトイレから出まして、一応PC画面をさりげなくチェックし(セーフでした)、旦那に「どうしたの、仕事は?」と尋ねますと「(アリの)様子を見に来た。いま、休憩時間だから」と。

 

 その日の作業によっては10時に休憩があったりするんですよ。肉体労働ですからね、もう全然休んでくれ。


 休憩なので当たり前ですけど作業着で来てくれてですね。

 もうその手の業者さんみたいで。

 ちわっす、害虫駆除に来ました的な。おいおい『ジェシーおいたん』かよ!(ジェシーおいたん=米ドラマ『フルハウス』に出て来るイケメン。シリーズの最初の方は父親の害虫駆除の仕事を手伝ってて、よく作業着を着てた)


 もうね、やっぱり働く男って恰好良いんですよ。コスプレ(エロい意味の方)とかね、そういうのはあんまり興味ないんですけど、ちょっとぐっときましたからね。彼は私が働いているところにお客さんとして来ることは結構ありますけど、その逆パターンってあんまりないものですから。働く男ってひたすら恰好良いですよね。私はいまでも頻繁に夫に惚れ直すから。ご近所の皆さん、ウチの旦那が恰好良いです!


 それでですね、まぁ家の裏に回ったりなんやかんやして、再び仕事に戻っていったんですけど、あんなに蟲毒状態だったアリの巣コ□リの中のアリさんが、いまだーれもいなくなっててね。


 まだコ□リ部分は結構残ってるんですけど。

  

 えっ。マジで急にいなくなったんだけど、ほんとに何が起こったの?! 旦那、何したの?!

 

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