第1189話 住処を追われた
何かこう、あやかしものっていうか、そういうやつであるじゃないですか。
レジャーランドを建設するとかいってね、再開発とかそういうやつなんかでね、山に重機がガガガガみたいな展開ですよ。そこにね、
長老的な人がね、言うわけです。
「この祠を壊してはならん」とか、
「○○様のお怒りが」とか。
でもね、そんなの聞き入れられた試しないですから。「マジすか。そんじゃやめますわ」とはならないですからね。そんな生半可な気持ちでガーガーやってんじゃねぇんだよ、って。こっちもこれで飯食ってんだわ、と。
で、そんなこんなで重機がガガガガ入ってですよ。
まぁ案の定祠が壊されてね、そんで何かおっかねぇやつの封印が解けたりするわけですね。
あるいは、そこでひっそりと暮らしていた妖怪がね、「もうここには住めん」とか言ってね、人里に下りて来たりしてね。人間に化けて共存を図る――なんてパターンもありますね。
もういきなり何の話だよって思われたと思うんですけども。
いや、ウチに発生したアリさんの話なんですよ。
収まったんですけども、発生時、なんかもう尋常じゃないレベルだったんですよ。あれ、ここ屋外だったっけ? ってくらい。そりゃ設置したアリの巣コ□リが蟲毒状態になるくらいですから。
それでね、旦那と「何でこんなことになってんだ。どこから侵入したんだ?」って話になってですよ。
宇部「もしかしてアレじゃない? 裏で工事してるから」
旦那「――ほう?」
いま家の裏の方で、何か建ててるんですよ。しばらくうるさくてご迷惑かけます、って業者さんが家々を回って挨拶に来たんですよ。はーい、なんて軽く流したんですけど、えーっと何を建てるって言ったっけか。ちょっとその辺は覚えてないんですが。
私の推理はこうです。
裏の工事によってですよ。
そこに巣があったアリさん達が住めなくなってしまい、我が家のすぐ近くにお引越ししてきたのではないか、と。
そう、つまりは、住処を追われて人里に下りて来た、と。
もしくは連日の工事で家がガッタンガッタン揺れてるものですから(そんなにガッタンガッタンしてるわけじゃないけど、ここ最近地震が多かったのでちょっと過剰に反応しちゃう)、それによってなんか家が歪むなどし、アリさんが侵入しやすい環境になっているのでは。
どうですか、この名推理。
コ〇ン君もびっくりだし、金〇一のじっちゃんも腰抜かすって。
ただまぁ、その揺れによって多少隙間が生じてるのはまだありそうだとしてもですよ。その住処を追われた方についてはですね、よくよく考えたら、ウチの裏って用水路があるんですよ。その工事をしているところとはそれで分断されてるんですよね。お城のお堀みたいなもんですよ。攻め入れませんて。野生動物ならまだしも、アリですから。橋もかかってないのに無理ですって。
だからまぁ結局のところ謎なんですよ。
何であんなにぶわっと発生したのかな、って。
そしてどうしていきなりいなくなったのかな、って。
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