第1147話 全肯定旦那
もうタイトルがすべてを語ってますよ、今回はね。
皆さんもね、このエッセイをまぁ100話くらい読んだら「あー、はい、知ってます」って思われるかもしれないんですけども。
旦那ね。
ウチの自慢の旦那がね。
刑事コロンボの「ウチのカミさんがね」ばりに言いますけど、ウチの旦那がね。まーた旦那の話かよって思われたかもなんですけど、そう、旦那の話です。その旦那がね。
もう全肯定してくる。私を。
いや、良いんですよ。
私みたいに自己評価が地を這いずり回ってるタイプはね、とにかく「良いんだよ、良いんだよ。それであってるんだよ」「ありのままで良いんだよ」って認められたいですから。宇部さんはもうとにかく普段から自分を軽率に褒めまくっていますけど、そうでもしないと「もう私みたいな人間はマジでどうしようもねぇな」って体育座りで部屋の隅でじめじめしちゃうから。
だけれどもね、全肯定ばかりでは「くっそお前じゃ埒が明かねぇよ!」って場合もあるわけですよね。
どういう場合かっていうと、主にほら、「●と〇、どっちが似合うと思う?」みたいなやつとかそういうやつですよ。
いや、わかりますよ?
そもそもクソ長い上に面倒くせぇ女の買い物に付き合ってくれるってだけでも大天使ダンナエルなんですよ。その上に世の男性のほとんどが恐らく「知らねぇよ!」と心の中でシャウトするようなクエスチョンをね、投げかけてることも自覚してはいるんですよ。ただこちらとしてもですね、客観的な意見が欲しいというかね? 悩みすぎて頭がアホになってるというかね? あとはもう単純に「お前の好みの服が着てぇんだよこっちは!」みたいな気持ちもあるわけです。お前色に染めてくれよ!
するとですよ。
ウチの大天使ダンナエルはですよ。
「どっちでも良いよ」
なんてどんなに声のトーンで誤魔化してもその裏に「面倒くせぇ」が見え隠れするようなことは言わないんですよ。
「どっちも似合うよ」
これだよ!
そういうことじゃねぇんだよ!
似合うことはわかってるんだ! 何せ似合う服を選んでいるからして! 似合わねぇ服を買う余裕なんざねぇんだよ! そうじゃない! そうじゃないんだ! 色! 色を見て!! 明るい色or暗い色!?
「明るい方は、可愛くて良いよね」
ほうほう。
「暗い色は、シックで上品だよね」
ちくしょう!
とにかくまぁ毎回この流れでして。
結局、「外食した時にソース等が跳ねても目立たないだろう」みたいな、そんなネガティブなポイントで暗い服を買ったりするわけですけども。
先日ね、ちょっとこの体型の話になりましてね。ええ、ダイエット頑張ってますから。
宇部「お尻、キュってしてきたでしょ」
旦那「してるしてる。すごいね」
宇部「もうだるだるの境目のないお尻じゃないんだよ! 良夫さんもだるんだるんの私より、キュってしてる私の方が良いでしょ?」
旦那「キュってしてるのも良いけど、俺、だるだるでも良いなぁ」
宇部「嘘だ! だるだるで良いわけないじゃん!」
旦那「それはそれで良いんだよ。これぞおばさん、という体型もまた味があるんだよ。俺、その辺のゾーンが広いんだよね」
宇部「嘘だろ、どうなってんだ性癖! ボイーンの、キューの、バイーンの方が良くない? 年齢に抗ってる方が良くない?」
旦那「まぁ、ボイーンのバイーンも良いよね」
宇部「モデルみたいにすらっとしてるのは?」
旦那「それもかっこいいよねぇ」
宇部「くっそ、全方位に対応する気か。そんじゃもういっそ鶏がらみたいなのは? モデルはモデルでもスーパーモデルみたいなさぁ」
旦那「あっ、それは駄目だわ。鶏がらは駄目だ」
宇部「鶏がらは駄目なのかよ!」
何でもOKの旦那でも鶏がらだけは駄目なようでした。
この手の話で初めて彼のNGを知りましたね。
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