第1142話 逆のやつ
宇部さんはね、パートで働いてますけど、まぁ主婦なんでね、ほぼ毎日ご飯を作っているわけです。
何が困るってアナタ、献立よ。
オッシャレーな料理は作れませんけど、まぁだいたいのものは作れるんじゃないかな? と思うわけですが、ただ、何を作るか、というのが困るわけでして。
だいたいは仕事のお昼休みに旦那にラインして「何食べたい?」って聞くんですけど、旦那の方ではおそらく私に気を使ってくれているのでしょう、簡単なものをリクエストしてくるわけです。丼系が多いですね。あとはレトルトソースをかけるだけのスパゲッティとか。
良いんです良いんです。助かります、ぶっちゃけ。KACの時期はマジで助かりました。
でもたまには腕をふるいたい時もあるわけです。多少面倒なやつとかでも「松清子の作る○○が食べたいんだ」みたいなね、そんなこと言われたいわけですよ。
とはいえ、仕事を終えて買い物をしたりなんかしますと、帰宅時間は17時近く。旦那と子ども達も17時半ころには帰ってきますので、ここからじっくり煮込むような料理は難しい。なので、どうしたって簡単なやつになるんですが、休みの日くらいはね!
3月はKACがあったけど、もう終わったからね!
もちろん妻がそんな狂気の宴に参加していたなんて旦那は知らないわけですけど。アタイはやったんだよ、ダーリン。
というわけで、心の余裕がありまくりな休日です。よっしゃいっちょなんか変わったやつでも作るか! と謎のテンションで向かいました台所です。
ふと思ったんですよ。
手の込んだ料理といえばあれだな、ロールキャベツだな、って。
だってハンバーグを作った上にキャベツで巻き巻きするわけだから。
あー、ひき肉あるなぁ。キャベツもあるけど……あーでも二分の一のやつなんだよなぁ。それじゃあ巻けないよなぁ。
じゃあ、お肉でキャベツを巻いてみたら良いんじゃない? キャベツさんの方でもたまには巻かれてみてぇなぁとか思ってるんじゃない?!
そんなことを考えましてね。
そしたらもう作るっきゃないから。
書きたいものは書くし、
縫いたいものは縫うし、
作りたいものは作るんですよ。
というわけで、たまたまあった豚モモ薄切り(だったかな)に小麦粉をまぶし、軽くレンチンしたざく切りキャベツにベビーチーズを仕込んで巻いてみたんですよ。
ちょっとね、豚肉さんの方に思った以上に包容力がなくてところどころ破けちゃったんですけど、とりあえず巻き終わりを下にしてフライパンに並べ、サラダ油を垂らして蓋して焼いてみたんですよ。
ここで焦ってひっくり返したらバラけて終わりですから。若干焦がすくらいの気持ちでね。じゃないと巻き終わりがうまいことくっついてくれないから。
これ中身がね、キャベツとチーズなので、火の通りを心配しなくていいのが良かったですね。ただ、破けたところからチーズが出てきちゃって、見た目はまぁまぁ最悪でしたけど。
そんでほら、肉食系男子とかね、そういうやつで、『ロールキャベツ男子』ってあるじゃないですか。見た目は草食系なのに中身は意外と肉食! っていう。良いですよね、人畜無害な感じで近付いてきて、ふたりきりになったら狼になるんですよ。ギャップよ!
それでいくとこの『逆ロールキャベツ男子』はですよ、見た目は肉食なんですよ。だけど中身は草食なわけです。好きな子に対して、皆の前では一生懸命強気のアプローチするんだけど、いざふたりきりになったら何も出来ないんですよ! それはそれで良い!
しかも私のこの逆ロールキャベツはところどころ破けてるので、ぶっちゃけ周りもですね「彼、一生懸命肉食の振りしてるよね。中身草食なのに」ってバレてるんですよ。
おま、お前もう! 無理すんな!
でもそんなところがヒロインからすると可愛く見えちゃうんだよなぁ、とか考えながら、逆ロールキャベツを食べました。味は普通に美味しかったです。
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